講演情報

[P1-26]停電時に命を守る人工呼吸器の工夫〜在宅医療におけるバッテリ駆動時間延長の検証〜

片岡 怜1, 芝田 正道1, 西 謙一2 (1.国立成育医療研究センター, 2.NES株式会社)
【目的】
停電による人工呼吸器の停止は、患者の命を奪う危険がある。在宅医療においては電力確保までの時間が予測困難であるため、可能な限り長時間バッテリ駆動を維持する方法について模索した。そこで、医療機器は設定条件が電池消耗に影響すると考え、本研究では人工呼吸器および生体情報モニタ(パルスオキシメータ)の設定変更によるバッテリ駆動時間延長効果を検証し、停電対策としての有効性を評価した。
【方法】
人工呼吸器は在宅仕様の5機種を対象に、換気設定「Low」「Medium」「High」に加え、Medium条件にディスプレイ照明を抑えた「Medium(省電力)」を設定し、バッテリ駆動時間と充電時間を比較した。また、パルスオキシメータは1機種を対象に、HR設定(60bpm/200bpm)とビープ音の有無による4条件を検証した。
【結果】
人工呼吸器では「Medium」と比較して「Low」「Medium(省電力)」で駆動時間が延長し、「High」で短縮した。省電力設定による駆動時間延長効果は機種により差があったが、複数機種で顕著に駆動時間が延長し、最大で50%程度(約6時間半から約10時間に延長)の大幅な効果を認めた。また、充電時間では差を認めなかった。パルスオキシメータでは、条件の違いによる影響を認めなかった。
【考察】
ディスプレイ照明を抑える省電力設定は、バッテリ駆動時間延長に有効であることが示された。換気設定は患者や介護者で容易に変更できないが、換気に直接関与しない省電力設定への変更は可能で、バッテリ駆動時間延長による安全性向上に寄与する。また、電気使用量が減少し、充電に必要な時間も短縮できる。このような環境整備は、停電時に命を守る在宅医療継続の一助となる。本研究は災害時に命を守るための実践的知見を提供し、今後は関係者との連携による省電力機能の標準化と利用者への周知が重要であると考える。