講演情報
[P1-41]診療所医師の年齢構成と在宅医療提供体制の地域差に関する分析
藪下 千恵美 (国際医療福祉大学)
我が国の65歳以上人口は2025年に3割を超えると見込まれ、地域包括ケアシステムの推進が求められている。しかし、在宅医療の提供体制には大きな地域差が存在する。本研究は、診療所医師の年齢構成と在宅医療提供体制の地域差を明らかにすることを目的とした。厚生労働省公表統計(医師・歯科医師・薬剤師統計、人口動態統計等)およびDPC公開データ、内閣府公表統計SCRを用い、人口密度や医療資源の配置に基づき大都市型・地方都市型・過疎地域型に区分し分析した。公開二次データを用いたため倫理審査は不要と判断した。全国335医療圏を対象とした結果、在宅死亡率の中央値は大都市型が最も高く(19.1%)、過疎地域型が最も低かった(10.9%)。診療所医師の平均年齢は過疎地域型で最も高く(62.3歳)、大都市型で最も低かった(59.2歳)。在支診の人口10万対件数は大都市型12.73件、地方都市型10.83件、過疎地域型10.33件であった。一方、在支診/DPC病院数が0.5未満の医療圏は19か所(5.7%)確認され、中山間地域や地方都市周辺に多く分布していた。これらの地域では診療所医師の高齢化が進行しており、在宅医療提供体制の維持に課題がある可能性が示唆された。重回帰分析の結果、医師年齢構成は地方都市型および過疎地域型で有意に関連し、過疎地域型で最も高い説明力を示した(R²=0.44)。一方、大都市型ではSCR(外来)のみ有意な関連を示した(β=0.144, p=0.048)。高齢医師の割合が増加する医療圏では、在宅医療の提供体制の維持に向けた診療継続性の確保が課題である。ICT活用や多職種連携を含む地域医療モデルの構築が求められる。本研究の詳細は日本在宅医療連合学会誌(2026年掲載)に掲載された。
