講演情報

[P1-47]訪問診療における往診と定期訪問の比率についての検討

壁谷 悠介 (医療法人社団さんりつ会そうわクリニック)
【目的】
在宅医療において、定期訪問と往診の比率を把握することは、医療資源の最適配置やクリニック運営指標の標準化に重要である。本研究では、複数自治体における在宅医療機関のデータから、年間訪問件数に対する往診比率の基準値とばらつきを解析し、異常値の検出および実地運用での管理指標としての有用性を検討した。
【方法】
八王子市、相模原市、町田市、大和市、海老名市、伊勢原市の在宅医療機関84施設の公開されている様式11-3の情報(2023年8月〜2024年7月)を用い、年間訪問件数および往診率(往診数/定期訪問数×100)を算出した。全体データをもとに平均値・標準偏差(SD)を算出し、2SDおよび3SDを境界とするFunnel plotを作成した。本研究はインターネット上で公開されている公開データのみを収集・解析する研究であり、日本在宅医療連合学会倫理・利益相反員会に確認の上、倫理審査不要の研究とされている。
【結果】
全体の往診率は平均8.7%に収束した。定期訪問件数が少ない施設では往診率が高くなる傾向が確認された。84施設中、多くは2SD範囲内に位置したが、2施設(38%および49%)は3SDを逸脱していた。
【考察】
今回の分析では、往診率は年間訪問件数の増加に伴い一定値へ収束し、8.7%が実地における妥当な基準と示唆された。Funnel plotを用いることで、訪問件数が少ない施設の固有変動を考慮しつつ、異常に高い往診率を客観的に検出でき、業務偏在や緊急対応過多などの把握に有用である。標準的な指標を設定することで、在宅医療の質と持続性を担保しつつ、各拠点のパフォーマンス管理や地域比較に活用できる可能性がある。