講演情報

[P1-5]在宅医療開始時の臨床情報と在宅看取り率の関連
―非がん高齢者における後ろ向き検討―

岡本 翔, 草永 真志, 永井 康徳 (医療法人ゆうの森)
【目的】自宅での最期を望む高齢者や家族は多いとされる一方、実際には多くの高齢者が病院で亡くなっている。非がん高齢者では、救急搬送により一時的な状態改善が見込める場合も多く、在宅医療導入後の意思決定は揺れやすい。本研究では、在宅医療開始時の情報から在宅看取り率と関連する因子を明らかにすることを目的とした。 【方法】2023年11月1日から2025年6月30日の間に、当クリニックにおいて在宅医療を離脱(死亡もしくは入院や施設入所)した非がん高齢者を対象とした後ろ向き観察研究を行った。在宅医療開始時に自宅にいた症例に限定し、在宅看取り群と非看取り群に分類した。開始時の患者背景、医療・介護状況、ならびに意思決定支援に関連する項目について検討した。 【結果】対象は150例(看取り群90例、非看取り群60例)であった。要介護度、独居、医療処置、訪問看護導入、ALB値、NT-proBNP値などの医学的重症度や療養環境に関する項目では、在宅看取りに寄与しなかった。一方、在宅医療開始時の食事摂取量低下(p<0.05)、搬送希望の無(p<0.001)や代替栄養に関する希望無(p<0.05)、開始時に予定した診療回数月3回以上(p<0.05)が、在宅看取り率との間に有意差を認めた。 【考察】非がん高齢者における看取りまでの自宅療養継続には、医学的重症度や療養環境そのものではなく、在宅医療開始時の意思決定支援に関連する項目が寄与する因子であった。急変時対応や代替栄養に関する意思決定が在宅看取り率と有意に関連しており、開始時の食事摂取量低下は意思決定支援を具体化せざるを得ない臨床的転機を反映している可能性がある。在宅医療開始時の意思決定支援の踏み込み度の在宅看取り率への関与が示唆された。(カテゴリⅣ-B,本研究は日本在宅医療連合学会倫理委員会の承認(承認番号2025-12)を得て行われました。)