講演情報

[P1-52]在宅医療における菌血症のセフトリアキソン耐性菌の頻度と予後:単施設後方視的研究

能勢 悠介1, 貝田 航1, 宮本 雄気2,1, 板舛 笑果1, 山下 歩1, 西井 賢俊1, 林 裕哉1, 武藤 英貴1, 藤谷 好紀1, 柳澤 克哉1, 菅原 信行1, 田中 裕子1, 山田 寿美1, 守上 佳樹1 (1.医療法人双樹会よしき往診クリニック, 2.京都府立医科大学 救急医療学教室)
【背景】 在宅医療の現場でセフトリアキソン(CTRX)は在宅医療における感染症治療で頻用される抗菌薬だが、耐性菌による治療失敗や予後悪化が懸念される。本研究では、在宅療養支援診療所で訪問診療患者で菌血症を発症した症例を対象に、血液培養で検出された菌株のCTRX耐性割合と、CTRX耐性菌による菌血症患者の予後調査を目的とした。【方法】 本研究は単施設後方視的研究である。2023年から2024年の間に在宅療養支援診療所Aで訪問診療を受けていた患者のうち、血液培養検査で菌が検出された症例を対象とした。診療録から患者背景、検出菌種、CTRX感受性結果、および血液培養陽性判定日から30日後・90日後の生存状況を含む患者データを収集した。得られたデータをCTRX感受性菌による菌血症群(感性群)とCTRX耐性菌による菌血症群(耐性群)に分類し、それぞれの集計結果を記述した。主要評価項目を血液培養陽性判定日から30日後の死亡の有無、副次評価項目を同90日後の死亡の有無と定めた。本研究は当法人倫理委員会にて承認されている。【結果】 研究期間中、248例に血液培養検査を実施し、27例(11%)で菌血症が確認された。検出された27株中、CTRX耐性菌は8株(30%)であった。年齢は感性群82.0±12.0歳と耐性群85.6±9.8歳であった。30日後の死亡率は、感性群で11%(2/19)、耐性群で13%(1/8)であった。同様に90日後の死亡率は感性群で26%(5/19)、耐性群で38%(3/8)であった。【考察】 本研究では、在宅診療中の患者が菌血症を発症した場合に、CTRX単剤による初期治療では対応できない症例が一定数存在する可能性が示唆された。一方で、CTRX耐性菌による菌血症が短期的な死亡率の上昇に関連するかどうかについては、本研究の規模では明らかにできず、さらなる大規模な観察研究が必要である。