講演情報

[P1-6]終末期独居患者における療養場所選択の意思決定支援
~ 転居時期の判断に難渋した一例 ~

片山 欽三, 久松 正倫, 種田 健史, 大草 卓也, 木下 竜弥 (みつぼし在宅クリニック)
【はじめに】
終末期癌患者における最期の療養場所の選択は、本人・家族の意向、生活背景、医療資源など多くの要素が関与する。BSC移行後にホスピスを調整し在宅療養される患者は多いが、独居で家族が遠方に居住する場合、転居や転居先でのホスピスに移行するタイミングの判断は困難となる。今回、他府県に住む家族のもとへ転居すべき時期の調整に難渋した一例を経験したため報告する。
【症例】
症例は57歳男性。肝内胆管癌に対し化学療法を施行されていたが、肝転移増大によりBSCとなり、訪問診療を開始。独居で家族は遠方に居住しており、介入時ADLは比較的自立していた。本人は自宅での生活継続や身辺整理を希望しており、最終的には他府県に住む家族の元に転居して、ホスピス入院を希望していた。経過中、意識障害や脱水により複数回の救急搬送・入院を繰り返し、その都度、家族のもとへの転居時期について説明と意思確認を行った。最終的には本人の「自宅で過ごしたい」という意思を尊重し自宅退院としたが、身体機能低下と家族の不安から、本人の意向とは異なる形で家族宅へ移動となった。
【考察】
終末期における療養場所の選択では、本人の意思尊重が重要である一方、独居かつ家族が遠方に居住する場合、急変時対応や見守り体制に限界がある。本症例では、本人の「自宅で過ごしたい」という希望と、家族の安全面への不安との間で意思決定が揺れ動き、転居の最適なタイミングを逸した可能性がある。
在宅療養を支援する際には、身体機能低下の予測を踏まえた早期からの転居時期の共有、本人・家族双方の不安を可視化した継続的な意思決定支援が重要であると考えられた。