講演情報

[P1-85]ムコ多糖症I型患者の在宅酵素補充療法における訪問診療・訪問看護連携

平井 美奈子, 野末 睦, 楢原 創, 石倉 聖美, 亀山 洋子, 阿蔵 未来, 井下田 一美, 石井 雅美, 久保田 智子, 小山 莉奈, 後藤 裕子, 永田 典子, 柳澤 志保 (医療法人あい友会 あい太田クリニック)
【はじめに】ムコ多糖症I型(Hurler病)は、稀な遺伝性の必須酵素欠乏症であり、主な治療法として酵素(ラロニダーゼ)補充療法(ERT)がある。そしてERTは、週1回程度の点滴治療が行われるが、定速かつ確実な投与、また副反応出現対応のために、通常は専門医師のいる医療機関外来で行われる。しかし通院困難に至る場合も多く、在宅での実施が求められる。私たちは病院と連携し、ERTを在宅で1年半に渡って安全に実施できたので報告する。
【症例】20歳代前半、男性。1歳でHurler病と診断され、その後約20年にわたり、病院外来で月4回のERTが施行された。しかし次第に全身状態は悪化し、体格も大きくなり、家族と病院主治医との話し合いで、約1年半前より在宅ERTの導入となった。その際、酵素薬剤の保管、投与速度などの厳重な管理、アナフィラキシーなどの副反応出現に対する備えが重要だと考え、以下のような体制で実施した。まず当法人内の訪看1名が先に訪問し点滴の準備。医師・帯同看護師到着後は、医療チームとして、点滴ルート確保、静脈血ガスの測定、投与速度の変更や確認、VS管理を担う。医療チーム退室後は、他法人の訪看がVSチェックや薬剤の残存確認を頻回に行い、医師へ報告。薬剤管理として、使用酵素は自宅で冷蔵保管。アナフィラキシー対策のヒドロキシジンパモ酸塩は当日使用分のみを医師が持参し投与。当日は尿道カテーテル交換、褥瘡処置など実施。全身状態の安定を目指した。以上の結果、在宅酵素補充療法を月2回約1年半に渡って実施できた。
【考察】ERTという高度な医療処置を、病院、訪問診療・訪問看護間の強力な連携で実施できた。通院の負担を軽減し住み慣れた環境で治療できることは、患者本人だけでなく、見守る家族の心のゆとりにも繋がった。今後も在宅医療での高度な医療処置の実践を試みていきたいと思う。