講演情報

[P1-94]早期退院に向け、QOLを維持しながら最善の環境を整える
ー在宅療養困難である方の早期入居調整を行った事例ー

池元 由衣1,2, 松山 裕弥3, 三菅 知久4, 木股 竜太郎3 (1.ウェルビーイング医仁館 恵那, 2.訪問看護ステーションウェルビーイングえがお, 3.NexWel 恵那地域笑顔共創クリニック, 4.訪問介護ステーションウェルビーイングえがお)
【はじめに】 国の政策として、入院医療全般で「在院日数の短縮」「在宅復帰の推進」が重視されている。早期退院はQОL向上や医療費の適正化という効果があるが、実際には在宅療養困難となる方が多くみられている。在宅療養困難である方の早期入居調整を行った事例を報告する。 【症例】70代男性で下咽頭癌末期のため総合病院の緩和ケア病棟に入院していた。経過中に2度の自殺企図があったため精神科が介入し、病状の進行や気管切開状態等に対する心因性反応による衝動的行動と判断された。緩和ケア病棟では身体拘束や施錠が困難であることから入院継続は困難と判断された。在宅療養では常時の見守りに限界があること、介護・医療処置が頻回に必要であること、家族の自殺企図という精神的疲労もあり困難であった。当施設は自殺企図歴のある患者の受け入れ実績はなく、監視や施錠、危険物の排除は困難な状況であった。また自殺を実行した際の職員への心理的負荷も懸念された。受け入れにあたり職員詰所の近傍とし居室内がすぐに確認できる状態にすることや、家族の不在時間には自費ヘルパーの付き添いを導入した。施設では面会に制限を設けず家族や友人が頻繁に付き添うことができ、次第に施設職員とも関係性を築くことができた。入居中に危険行動は認めなかった。 【考察】担癌患者、特に頭頸部癌の患者は適応障害や自殺リスクが高いとされており、診断直後や治療中だけでなく長期経過観察期にも認められる。ターミナルケアにおける心理的な援助には難渋することも多く、深い患者理解を伴う共感的対応が支持的となるが、十分な時間を確保できないこともある。本症例では幸いにして入居後は危険行動を認めなかったが、受け入れ時の患者情報として身体的な治療介入についてだけでなく、性格や思想について、また家族との関係性についての多職種からの情報が必要と思われた。