[CS1]医療DXの加速と医療・HealthTechの融合
*上田 悠理1(1. 株式会社Confie 代表取締役CEO)
医療はたくさんの「つながる」でできている。院外から病院内、院内の電子カルテなど様々なツール、各患者のデータなどがつながっている。そして、「つながる」のその先は必ず患者に、物理的につながる=手が届くことに行き着く。患者はその人の環境、疾患、生活習慣などにあった診療・相談ができる医療スタッフが必要である。システムやツールを駆使して、治療に関係ない「じゃない部分」でつながる労力を減らすことで、真に患者のためになるコミュニケーションに時間を割くことは、我々医療従事者の悲願ともいえる。例えば、医療機器のサイズが大幅に小さくなり、設置型から可搬できるようになると、より質の高い在宅医療の提供につながる。患者コンプライアンスの向上に有効な「気付き」を与える方法がスマートフォンIoT やセンサの効果的な組み合わせで提供される。また、ウェアラブルデバイスやモバイルアプリケーションなどの高性能化により、患者自身が健康情報を収集し、管理することが可能になってきている。これにより、患者は自己管理を促進し、生活習慣や治療効果のモニタリングを行うことができる。医療従事者と患者の双方がリアルタイムで情報・状況を共有し、共同で治療計画の策定に関わることで、患者の納得・安心と安全で効率的な治療・ケアとの両立が期待される。ヘルスケアITでは、技術革新と同時に、倫理的な観点や法的規制を考慮した上で、安全性とプライバシーの確保を優先する点が重視される。さらに、患者中心のアプローチを強化し、医療システム全体の効率性と品質を向上させるための取り組みが必要であると考えられる。これらの取り組みにより、医療情報分野の専門家は、ヘルスケアとIT技術の融合がもたらす機会を最大限に活用し、より効果的な医療サービスの提供と患者の健康増進に貢献することができるだろう。
