[PL]情報をつなぐ、縦軸と横軸
*鈴木 隆弘1(1. 千葉大学医学部附属病院 企画情報部)
キーワード:
医療情報連携、システムリプレース、ガラパゴス化
病院の内外には様々なシステムが存在し、人々や業務、システム同士をつなぎ合わせている。しかしながら、実際には期待通りの成果が得られないことも少なくない。私はこれまで医療情報に携わるなかで、情報をつないでギャップを乗り越えることが医学・医療の進歩や効率化に不可欠であることを強く実感してきたことから、今大会のテーマを「情報をつなぐ」と設定した。
「つなぐ」と言う言葉の訳語にはconnect、join、link、などの様々な単語があるが、いずれも情報システムの大切な役割を表している。病院と診療所、医師と患者、医療と介護、臨床と研究など、至る所に存在する情報連携のギャップは医療全体の進歩を妨げる大きな障壁である。近年はこれらのギャップの存在が認識されてきており、これらを乗り越えるための一手法としてFHIRによる情報連携が注目されており、異なるシステム間でも容易なデータ共有を実現している。また、ユニバーサルバスなどの新技術も登場しており、将来的にはさらに高度な情報連携が可能になると期待される。研究の分野でも、国内では臨床研究中核病院ネットワークなどの複数施設でのデータ利用、国際的にはOHDSIのような標準規格を用いた国際的な研究協働も推進されている。これらの取り組みは将来的に医療の質の向上や新たな治療法の開発に大きく貢献することが期待される。
「つなぐ」の訳語には継承などを意味するinheritも存在する。linkなどが横方向の「つなぐ」とするなら、inheritは縦方向の「つなぐ」だと言える。当院では本年の1月に病院情報システムのリプレースを行った。従来のシステムは1980年に初代が構築されて以降、長年培ってきた独自のカスタマイズが複雑化し、システムの改修や機能追加が困難になっていた。このガラパゴスな状況を打破するために、今回のリプレースではパッケージシステムをノンカスタマイズ導入することを大原則として臨み、結果としてベンダーを変更することとなった。当院には世界最長の40年以上の検査データをはじめとした大量のデータ資産があり、これらの移行は大きな挑戦であった。しかし、綿密な計画とスタッフの献身的な努力により、データ移行を無事に完了し、次世代に「つなぐ」ことができた。
これら縦と横の「つなぐ」ための取り組みについて、当院の経験をもとに概説し、次世代の医療情報の展望を探る機会を提供できれば幸いである。
「つなぐ」と言う言葉の訳語にはconnect、join、link、などの様々な単語があるが、いずれも情報システムの大切な役割を表している。病院と診療所、医師と患者、医療と介護、臨床と研究など、至る所に存在する情報連携のギャップは医療全体の進歩を妨げる大きな障壁である。近年はこれらのギャップの存在が認識されてきており、これらを乗り越えるための一手法としてFHIRによる情報連携が注目されており、異なるシステム間でも容易なデータ共有を実現している。また、ユニバーサルバスなどの新技術も登場しており、将来的にはさらに高度な情報連携が可能になると期待される。研究の分野でも、国内では臨床研究中核病院ネットワークなどの複数施設でのデータ利用、国際的にはOHDSIのような標準規格を用いた国際的な研究協働も推進されている。これらの取り組みは将来的に医療の質の向上や新たな治療法の開発に大きく貢献することが期待される。
「つなぐ」の訳語には継承などを意味するinheritも存在する。linkなどが横方向の「つなぐ」とするなら、inheritは縦方向の「つなぐ」だと言える。当院では本年の1月に病院情報システムのリプレースを行った。従来のシステムは1980年に初代が構築されて以降、長年培ってきた独自のカスタマイズが複雑化し、システムの改修や機能追加が困難になっていた。このガラパゴスな状況を打破するために、今回のリプレースではパッケージシステムをノンカスタマイズ導入することを大原則として臨み、結果としてベンダーを変更することとなった。当院には世界最長の40年以上の検査データをはじめとした大量のデータ資産があり、これらの移行は大きな挑戦であった。しかし、綿密な計画とスタッフの献身的な努力により、データ移行を無事に完了し、次世代に「つなぐ」ことができた。
これら縦と横の「つなぐ」ための取り組みについて、当院の経験をもとに概説し、次世代の医療情報の展望を探る機会を提供できれば幸いである。
