一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

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2019年9月19日〜9月23日九州大学伊都キャンパス
日本鉱物科学会年会
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2019年9月19日〜9月23日九州大学伊都キャンパス

[S1-05]伊豆大島1986年噴火の斑レイ岩捕獲岩中のメルト包有物

*石橋 秀巳1、種田 凌也1、安田 敦2、外西 奈津美2、千葉 達朗3(1. 静岡大・理、2. 東大地震研、3. アジア航測)

キーワード:

メルト包有物、クリスタルマッシュ、斑レイ岩、伊豆大島、噴火

伊豆大島1986年噴火のB火口噴出物中には稀に,粒間にメルトを30vol.%程度含む斑レイ岩捕獲岩が含まれ,クリスタルマッシュの欠片と考えられる。石橋他(2017)では,この捕獲岩中の粒間メルトに墨流し状の化学組成不均質が見られ,その組成範囲が1986年噴火Bマグマのそれと一致することを示し,クリスタルマッシュ粒間でメルトの浸透流に伴う混合がおこっていると議論した。本研究では,同捕獲岩中の構成鉱物に含まれるメルト包有物(MI)の化学分析を行い,メルト混合のおこる前に構成鉱物が共存していたメルト組成を検討した.MIは,ホスト鉱物種に依存して異なる化学組成を示したが,斜長石・オリビン中のMIはいずれもK2O/TiO2比およびCaO/Al2O3比が一定であり,その値は伊豆大島のSiO2<56wt.%のマグマと一致した.一方でSiO2>56wt.%では,SiO2の増加に伴ってK2O/TiO2比は増加し,CaO/Al2O3比は減少する.これは単斜輝石やFeTi酸化物の晶出のためと考えられる.以上の結果は,このクリスタルマッシュの粒間メルトは元々SiO2<56wt.%であったことを示唆する.