一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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2022年9月17日〜9月19日新潟大学 五十嵐キャンパス
日本鉱物科学会年会
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2022年9月17日〜9月19日新潟大学 五十嵐キャンパス

[R5-03]Moama隕石中トリディマイト多形のFIB-TEM観察

*竹之内 惇志1、伊神 洋平2、三宅 亮2、下林 典正2、三河内 岳3、大野 遼3(1. 京大・総博、2. 京大・院理、3. 東大・総研博)

キーワード:

シリカ鉱物、鱗珪石、透過型電子顕微鏡、熱変成作用

シリカ鉱物には様々な多形が知られており,近年,隕石中のシリカ鉱物多形の組み合わせの多様さと熱変成履歴との関係に注目した研究が進められてきている。本研究では隕石中のシリカ多形の産状を明らかにするため,先行研究で報告があったMoama隕石中の単斜晶(MC)と擬直方晶(PO-10)のトリディマイトの共存組織についてFIB-TEM観察を行った。 電子線回折による方位解析では,単斜晶トリディマイトの空間群をAaとしたとき(001)PO-10//(001)MCの関係がみられた。トリディマイトの多形は,高温で安定な六方晶トリディマイトの(0001)面に並行なSiO4四面体がつくる六員環層が,c*方向に積層し,各層が歪んだり積層がずれたりすることで様々な構造が形成されていると捉えることができる。今回観察したPO-10とMCの境界面はその積層の面と平行であり,これらのPO-10とMCが一つのトリディマイト結晶から相転移により形成されたことを示唆する結果であった。今後これらの相も含めて詳細な観察を続け,天然のトリディマイトの相転移関係について明らかにしていく。