[R5-07]小惑星リュウグウ試料に含まれるカンラン石の岩石・鉱物学
*三河内 岳1、吉田 英人2、中村 智樹3、ゾレンスキー マイケル4、中嶋 大輔3、萩谷 健治5、菊入 瑞葉3、森田 朋代3、天野 香菜3、加川 瑛一2、圦本 尚義6、野口 高明7、岡崎 隆司8、薮田 ひかる9、奈良岡 浩8(1. 東大・総研博、2. 東大・院理、3. 東北大・院理、4. NASA JSC、5. 兵庫県大・理、6. 北海道大・院理、7. 京都大・院理、8. 九州大・院理、9. 広島大・院理)
キーワード:
小惑星リュウグウ、カンラン石、CIコンドライト、FE-EPMA、はやぶさ2探査機
JAXAはやぶさ2探査機によりサンプルリターンされた小惑星リュウグウ試料は、層状ケイ酸塩から主に成る角レキ岩であるが、少量ながら水質変成を免れたと考えられるカンラン石が存在している。これらのカンラン石はほとんどが5マイクロメートル以下の破片状で、Mg-Fe組成はFo99付近に集中していた。微量元素として、少量のMn, Cr, Caを含み、LIMEカンラン石もわずかながら含まれていた。比較として分析したCIコンドライト(OrugeilとIvuna)も、リュウグウ試料と非常によく似たカンラン石の産状(組織・サイズ)、鉱物組成を持っていた。以上の結果、カンラン石の岩石鉱物学的特徴からもリュウグウ試料はCIコンドライトに類似していることが強く支持された。Room A試料にカンラン石が見つからなかったことから、2回のタッチダウンで異なる特徴の試料が採集されたことが示唆される。今後、これらのカンラン石に注目して、母天体での水質変成前、特に原始太陽系星雲からの凝縮過程に注目して検証する必要がある。
