[R7-10]プレート拡大速度の指標としての海洋地殻温度構造: オマーンオフィオライトの岩脈群の結晶粒径温度
*海野 進1、奥川 歩美5、寅丸 敦志2、草野 有紀3、宮下 純夫4、足立 佳子6、田村 明弘1、森下 知晃1(1. 金沢大・地球社会、2. 九州大学・理、3. 産総研・地質調査総合センター、4. 北海道総合地質センター、5. YKK AP株式会社、6. 電力中央研究所)
キーワード:
結晶粒径温度計、オマーンオフィオライト、海洋地殻構造、温度構造、拡大速度
海嶺軸セグメントの中心では浅所にマグマ溜まり頂部のメルトレンズがあり,薄い岩脈群と厚い噴出岩層が発達する。一方,セグメント端では深所に薄いメルトレンズがある所と無い所がある。噴出岩層に比して相対的に岩脈群が厚く発達する。下部地殻構造も系統的な変化を示すことはオマーンオフィオライトでわかっている。セグメント中心ではフォリエーティッドガブロが厚く,層状ガブロは薄い。これに対してセグメント端では厚い層状ガブロが発達する。 海洋地殻構造の違いは,マグマ供給率と密接に関係しており,セグメント中心はマグマ供給率が高いため高温で,セグメント端は供給率が低く低温であったと予想される。そこで北部オマーンオフィオライトの岩脈群について結晶粒径温度計を適用し,拡大軸直下の温度構造を推定した。セグメントの中心では岩脈群を通して高温であるが,セグメント端では岩脈群上部で低温,下部で温度が急上昇する。熱収支のモデル計算の結果,後者の岩脈群上部は熱水循環により,下部は主に熱伝導によって冷却されたと解釈できる。一方,前者の一様に高温の岩脈群は,単純な熱伝導では説明できず,下部まで達する弱い熱水循環を必要とする。
