一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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2022年9月17日〜9月19日新潟大学 五十嵐キャンパス
日本鉱物科学会年会
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2022年9月17日〜9月19日新潟大学 五十嵐キャンパス

[S2-01]地殻―マントル物質境界における緑泥石化と空隙形成

*岡本 敦1、大柳 良介2、吉田 一貴1(1. 東北大・院環境、2. 国士舘大)

キーワード:

緑泥石化、空隙、蛇紋岩、三波川帯、物質移動

緑泥石化作用は、海洋地殻の変質や地殻―マン トル境界の交代作用として普遍的に観察 される。しかし、多量の元素移動を伴う緑泥石化がどのように進行するのかはよくわかっていない。本講演では,三波川変成帯関東山地の樋口に産する蛇紋岩体と泥質片岩の間に発達する緑泥石岩の特徴を報告する.アンチゴライト蛇紋岩体と泥質片岩の間には、蛇紋岩を原岩とするトレモライトー緑泥石片岩、泥質片岩から変化した緑泥石岩が形成している。マスバランス解析によると、緑泥石化作用により MgOとH2Oが供給され、SiO2, Na2O, K2O などが溶脱し、Al2O3やTiO2は固定されてる。興味深いことに、この緑泥石岩はグラファイトなどの泥質片岩の層状構造を完全に残し、かつ、場合によっては石英粒子の形を残しながら緑泥石化の置換が進行している。さらに、ナノ―マイ クロX線CTの解析により、石英と緑泥石 の境界には明瞭なポアが見出され、反応フロントで空隙を形成しながら溶解―沈殿が進行していることを示唆している。講演では、体積変化、元素移動、空隙形成 を含めたメカニズムを議論する。