[S2-02]堆積岩中のイオン交換反応の数値モデル化と天然への適用
*阿部 健康1、石井 英一1(1. 原子力機構)
キーワード:
続成作用、イオン交換反応、表面錯体モデリング、イオン交換等温線
一般産業廃棄物・放射性廃棄物の処分, CO2地下固定など, 地下環境の工学的利用にあたり続成作用の理解が重要であり, 筆者らは堆積岩の反応輸送解析を進めている. ここでは北海道北部天北地域に産する幌延泥岩を対象とし, 淡水による化石海水洗い出し過程における交換性陽イオン組成の順解析的定量化を目指してActive fraction modelによりイオン交換反応を数値モデル化した. イオン交換反応の平衡定数を土壌と同様の値として行った計算の結果, Na脱着とCa吸着が起こることが予想された. この結果は, 先行研究で報告されているボーリングコアの化学組成において, 浅部領域のデータに認められるNa2O/Al2O3の相対的な低下とCaO/Al2O3の相対的な増加の傾向を定性的に支持するものである. 今後モデルを改良して反応輸送解析を実施し, 交換性陽イオン組成の変化に対するバルク化学組成の応答を定量的に調べ, 観測結果に整合するイオン交換の平衡定数を見積もる. その結果から, 幌延泥岩のイオン交換特性について定量的に議論すると共に, 地下水質形成における堆積岩-水相互作用の役割を明らかにする.
