講演情報

[PEM25-P02]AMATERASで観測された太陽電波II型バーストのスペクトル微細構造の統計解析

*柏木 啓良1、三澤 浩昭1、土屋 史紀1、岩井 一正2、小原 隆博1 (1.東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター、2.国立天文台野辺山太陽電波観測所)

キーワード:

コロナ、粒子加速、電波バースト、スペクトル微細構造、AMATERAS

太陽電波II型バーストは、太陽コロナ質量放出(CME)に伴う衝撃波付近で加速された電子によって発生すると考えられている。この中に、継続時間が1秒未満と非常に短い多数のスペクトル微細構造によって形成されている現象が存在することが報告されている(佐藤他、第26回JpGU講演会他)。このようなスペクトル微細構造は加速された非熱的な電子ビームの挙動を反映しているものと解釈されており、衝撃波に伴う粒子加速における貴重な情報を持っていると考えられている。
本研究では、東北大学が所有するメートル波帯太陽電波望遠鏡AMATERAS(Iwai et al., 2012)を用いてスペクトル微細構造を伴うII型バーストの一般性の査定と、スペクトル微細構造の特徴を明らかにするための統計解析を行った。AMATERASは時間分解能10msecのスペクトルデータを連続的に取得可能で、2010年秋の観測開始以降、多くの太陽電波バーストの観測に成功している。
本研究では、このAMATERASデータベースから、II型バーストの出現を9例同定した。これらのII型バーストには、全体的なスペクトル構造に、基本波・二倍高調波、バンドスプリット構造をもつものがみられたが、特筆すべき点は、9例の何れもスペクトル微細構造が確認されたことである。このことからスペクトル微細構造はII型バーストにおいて一般的な特徴である可能性が示唆される。また、これら9例の中から3例のII型バーストに関して、さらにスペクトル微細構造の周波数ドリフトに関する解析を行った。その結果、3例ともスペクトル微細構造の個々の周波数ドリフト率は、100MHz/sを越えるような大きな値のものが多く含まれていることが分かった。定常コロナ密度を用いて、この周波数ドリフト率を粒子速度に変換すると光速を越える非現実的な値になることが分かった。これは、過去に報告されたⅡ型バースト微細構造の周波数ドリフト率の結果(佐藤他、第26回JpGU講演会他)と同様であり、定常コロナ密度とは異なる密度分布の下で電波が生成された可能性を示唆するが、具体的な。電波生成過程や粒子加速機構に関する理解は課題となっている。本講演では、個々のⅡ型バーストのスペクトル微細構造の周波数ドリフト率の特性を紹介するとともに、想定されるII型バーストの生成過程に関して議論を行う予定である。