講演情報

[PEM18-P02]月ウェイク境界における太陽風エネルギーの電磁エネルギーへの変換について

*中川 朋子1、綱川 秀夫2、斎藤 義文3 (1.東北工業大学工学部情報通信工学科、2.東京工業大学理学院地球惑星科学系、3.宇宙科学研究所)

キーワード:

ウェイク、太陽風、渦

太陽風にさらされた月面が太陽風粒子を吸収することにより、月の下流側にはウェイクと呼ばれる低密度領域ができる。ウェイク境界では、太陽風磁場を横切る方向にはおよそ400kmの厚さの密度勾配層ができ、距離40kmでプラズマ密度が約半分になることがかぐや衛星の観測によって示されている。この境界層で電子の圧力もおよそ2桁落ちる。この圧力勾配によってプロトンがウェイク中心に向かって加速される形となり、渦度が生じる。この渦と回転方向の揃った0.01-0.3Hzの磁場変動も観測されている。磁場が太陽風の流れに垂直な時(たとえば北向き磁場)圧力勾配による速度成分(Vy)により、VxB電場が生じ、渦の動径方向に粒子を加速・減速して渦の中心に電荷を生じるため、それを解消するような沿磁力線電流が生じている。沿磁力線電流は電子によって担われており、北向き磁場中では朝側で磁力線に沿ってウェイク中心から離れる電流(北半球で北向き、南半球で南向き)、夕方側ではウェイク中心に向かう電流(北半球で南向き、南半球で北向き)となっている。

この電流のエネルギー源は元々太陽風の運動エネルギーであるが、太陽風を流体として考えた場合、流体がされる仕事はウェイク境界の渦の動径方向の速度v_perpと渦の動径方向の電流Jによる力JxBの内積(負)であり、これが電磁エネルギーに変換され、さらに沿磁力線電流に変換されることになる。渦の動径方向の電流Jは、ウェイク境界におけるイオンと電子の侵入の違いによって生じている。