講演情報
[PPS03-P07]はやぶさ2搭載中間赤外カメラTIRの小惑星162173リュウグウ観測データの公開
*荒井 武彦1、出村 裕英2、神山 徹7、坂谷 尚哉3、須古 健太郎2、嶌生 有理3、千秋 博紀5、関口 朋彦6、小川 佳子2、長谷川 直3、和田 武彦3、今村 剛10、松永 恒雄9、滝田 隼8、北里 宏平2、田口 真4、福原 哲哉4、田中 智3、岡田 達明3 (1.足利大学、2.会津大学、3.宇宙航空研究開発機構、4.立教大学、5.千葉工業大学、6.北海道教育大学、7.産業技術総合研究所、8.北海道北見北斗高等学校、9.国立環境研究所、10.東京大学)
キーワード:
はやぶさ2、中間赤外カメラ、小惑星リュウグウ
小惑星探査機はやぶさ2は現在,小惑星162173リュウグウの科学観測を行っている.はやぶさ2搭載中間赤外カメラ(TIR)はリュウグウ上空から地表のサーモグラフィーを取得し,小惑星表層における熱バランスの予想モデルと比較して,リュウグウの全体および局所的な熱物性・物理特性を明らかにする(Okada et al., 2017).自転する小惑星の連続したサーモグラフィーの取得は世界初であり,小天体の成り立ちや進化を探る上で貴重なデータとなる.本発表では,TIRで取得したデータの解析プロセスと精度,プロダクトの公開状況を紹介する.観測したTIRのデータはJAXA内にあるデータサーバーでソーティングされ,TIRのデパケットソフトで生データ画像(Level1)に変換する.その後,会津大学のデータベースHEAT(Endo et al., 2017; Suko et al., 2019)を用いて輝度温度画像(Level2)に変換し,リュウグウの形状モデル(Hirata et al., 2018)上にマッピング(Level3)する.さらに,表層のラフネスモデル(Senshu et al., 2019)を取り入れた小惑星の熱バランスモデルでフィッティングを行い,熱慣性マップ(Level4)を作成する(Shimaki et al., 2019).最終的に,小惑星の熱モデルから任意の日時のリュグウ温度モデル(Level5)を作成する(Takita et al., 2017).TIRの空間解像度はセンサの性能できまるが,センサのアライメントの精度で観測位置に誤差が生じる.そこで,TIRよりも空間分解能の優れるオンボードナビゲーションカメラ(ONC)の観測データから作成されたリュウグウの形状モデル上にTIRで観測したデータをプロジェクションし,TIR画像のジオメトリック補正(アライメント補正)を行なった.結果,10 km上空からの観測において数mの誤差で観測位置を決定できるようになった(Arai et al., 2018).さらに,リュグウの形状モデルを使用してレンズの影響による画像の歪み補正(Kouyama et al., 2013)を行なった結果,1ピクセルよりも歪みが小さいことが確認された.以上の結果をTIR観測画像からリュウグウ地図データに変換にするために使用するNASA/NAIFのSPICEカーネルFK(Flame Kernel)とIK(Instrument Kernel)に反映し,観測データと同時に公開する.
