講演情報

[U12-07]地理空間情報の発展とオープンアクセス化★招待講演

*小口 高1 (1.東京大学空間情報科学研究センター)

キーワード:

地理空間情報、オープンアクセス、自然災害

地理空間情報は、人類が古来より利用してきた地図の内容を電子化および拡張したものであり、今日の社会を支える基盤となるとともに、地球惑星科学などの研究にも活用されている。地理空間情報は典型的なビッグデータであり、その取得と利用はリモートセンシング、地理情報システム(GIS)、インターネット、人工知能などの関連技術の急速な発展に支えられてきた。地理空間情報には販売されているものと無償で提供されているものがある。国レベルの基本的なデータについては、米国が1990年代に無償化とオープンアクセス化を先導し、21世紀には日本を含む先進国も追従した。また、グーグル社のような民間企業が地理空間情報を無償で配信する事例も増えた。さらにオープンストリートマップのように、国際的な草の根のグループが整備した無償のデータも充実しつつある。

一方で、特定の情報を含む優れたデータを民間企業や法人等が作成し、販売する場合も依然として多い。この種のデータを研究者が無償で利用できる取り組みを、共同利用・共同研究拠点である東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)が行ってきた。CSISがデータを購入する際に提供元と覚え書きを交わし、利用を申請して許可された研究者であればデータを学術目的で利用できるようにしている。この仕組みにより、国内と国外の多数の研究者が、個人では購入が困難なデータを研究に活用している。CSISは個人研究者が作成したデータを収集して共有する活動も行っている。たとえば博士論文の研究のために個人が収集・整備したデータが、CSIS経由で利用できるようになっている。

日本では、地理空間情報の整備と活用が自然災害との関連で発展してきた。特に1995年の阪神淡路大震災の際に、地理空間情報やGISが被災者の救援・支援や地域の復興のために重要と認識され、国を挙げての対応が始まった。2011年の東日本大震災以降は、ハザードマップの作成等と関連した取り組みも強まった。データのオープンアクセス化は災害対応の面でも重要であり、災害時の対応や各種のアセスメント等のために、データを自由に利用できる環境の整備が望まれる。さらに、地理空間情報やGISを適切に活用できる人材を育成するための教育についても、多数の人が無償で利用できる教材の整備が重要であり、そのための取り組みが進められている。