講演情報

[CLS2-座長][座長抄録] 可撤性義歯治療の勘所

*武部 純1 (1. 愛知学院大学歯学部有床義歯学講座)
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キーワード:

有床義歯の設計、咬合・咀嚼、力への対応

有床義歯は,固定性補綴装置と異なり咬合圧に対する負担様式として粘膜支持を求める点にあることから,円滑な咀嚼機能が回復・維持できるよう歯の欠損様式,咬合関係,残存組織等を考慮した義歯設計が肝要である.そして,有床義歯装着後の定期検査では,安定した口腔内環境が長期に維持できるよう口腔機能と義歯の適合・咬合状態等を含む口腔健康管理に努めることが大切である.これらのことを背景として,本臨床リレーセッション2では,有床義歯補綴治療について講演していただく.
 伊藤誠康先生には中長期的に将来予測される口腔内変化を考慮した部分床義歯の設計や術後管理におけるレジン床義歯修理時の要点について解説をいただく.坂口 究先生には有床義歯補綴治療に求められる咬合理論とそれに基づく治療法,咀嚼機能の回復・維持に重要な要素である咬合の検査・評価法,治療法について解説をいただく.依田信裕先生には機能時における部分床義歯に加わる力への対応として,顎口腔系における生体力学的観点からの解説,研究データに基づく義歯の動きを制御するための設計の要点と治療法について解説をいただく.
 本セッションを通じて,安全性と効果性という共通のテーマの下で,各専門家の貴重な見解と,科学的根拠に基づいた知見の共有を通して,臨床で直面するさまざまな状況に対して,確信を持って適切な判断ができるようになるための一助となれば幸いである.参加者各位の臨床技術の向上はもちろん,患者さんへの治療の質をさらに高めるための貴重な学びの場となることを期待している.