講演情報
[CLS3-1]顎補綴治療のヒントと、難症例を増やさない日常臨床の在り方
*隅田 由香1 (1. 日本歯科大学生命歯学部)
キーワード:
顎顔面欠損、歯科技工士との連携、ピエゾグラフィー
超高齢社会の進展は、腫瘍罹患率の上昇を招き、頭頸部腫瘍患者数の増加と、がん治療に有効な骨吸収抑制剤の使用による薬剤性顎骨壊死の高リスク患者の増加を、歯科界に引き起こしている。歴代のご尽力により「補綴歯科専門医制度」が築かれ、2023年には日本歯科専門医機構の認定を受け、医政発1012第1号が厚生労働省から発出され、広告可能となった。顎顔面欠損症例を難症例として含め、国民に良質な専門的歯科医療を提供する道筋を示した、先人たちの叡智に敬意を表すと同時に、より多くの先生方が、顎顔面欠損症例に取り組むためのサポート整備が急務である。本講演では先ず、顎顔面補綴治療特有のノウハウを共有し、治療自体は特別なものではないことを理解していただきたい。第二に、歯科技工士との緊密な連携なくしては成し得ないことを再確認する。最後に、頭頸部欠損症例を増やさないために、日常臨床での予防的アプローチの重要性を考察する。補綴歯科医としての基本を日々忠実に守り続けることが、難症例への対応を可能にし、難症例数を最小限に抑える最善の道であることを、本講演を通じて共有できれば幸いである。 参考文献:大川周治 ,松村英雄 ,市川哲雄 ,馬場一美:補綴歯科専門医の機構認定までの道程.日歯連合誌 2023; 2: 6-12. doi.org/10.57468/jjdsf.23-007