講演情報

[CLS3-2]顎補綴治療のヒントから、口腔機能低下症に対応する

*堀 一浩1 (1. 新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野)
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キーワード:

口腔機能、顎顔面欠損、口腔機能低下症

超高齢社会を迎え,高齢者の口腔機能の維持が求められている.口腔機能低下症の概念が公表され,2018年の診療報酬改定により口腔機能低下症に対する口腔機能管理が保険導入された.その後,口腔機能が注目されるとともにその評価や対応を行う機会が増えている.また,訪問歯科診療における要介護高齢者の診療を含め,口腔機能低下に対する対応が今後さらに求められるだろう.しかし,どのように対象者を見つけ出すのか,口腔機能低下症と診断した患者にどのように対応すればよいのか,難渋することも多いのではないだろうか.
 口腔腫瘍術後患者では,腫瘍切除術による侵襲や放射線治療,およびその後の拘縮により,複合的な機能低下が見られる.顎顔面補綴治療においては,その機能低下の原因を検討し,補綴治療やリハビリテーションにより対応されることが求められる.口腔腫瘍術後患者と比べ,口腔機能低下症患者では,重篤な機能低下がみられることは少ないが,それでもやはり硬組織欠損だけではなく,軟組織の可動性の低下や筋力低下に注意を払うことが必要である.実際,普段の診療時の様子から口腔機能低下を疑う徴候が見られることも多い.
 そこで本講演では,口腔腫瘍患者の持つ機能障害や顎顔面補綴治療における対応を参考にしながら,一般の高齢者歯科診療において考えられる機能障害とその対応の方法について,検討したい.