講演情報

[ES3-1]部分欠損歯列における口腔内スキャニングの勘所 ―論文投稿の実際とその後の臨床応用に向けて―

*清水 廷浩1、*四ツ谷 護2 (1. 東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座、2. 東京歯科大学クラウン・ブリッジ補綴学講座)
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キーワード:

口腔内スキャナー、部分欠損歯列、スティッチング

近年,口腔内スキャニングは固定性補綴装置の製作への応用のみならず,可撤性補綴装置への応用も試みられており,部分欠損歯列に対する口腔内スキャニングの精確さに関する研究が増えている.
部分欠損歯列における口腔内スキャニングでは,顎堤部は残存歯部と比較して精確さが低下するという報告がある.これは,スキャニング時に画像を連続的に繋ぎ合わせるスティッチングという処理により,広範囲かつ平坦な面へのスキャニングの誤差が発生するためであると考えられる.そのため,部分欠損歯列では,残存歯間の距離や欠損部顎堤の状態によりスキャニングに誤差が生じる可能性がある.
日本補綴歯科学会第131回学術大会の課題口演で,「部分欠損歯列顎堤に対する口腔内スキャニングの精確さ向上を図る新提案」というタイトルで研究成果を報告し,その後,当該内容で論文の作成および投稿を行った.
当セッションでは,若手研究者が,課題口演での発表から論文の掲載に至るまでの間,どのような指摘を受け論文を作成,修正していったのか,実際のやり取りをもとに解説を行う.さらに,臨床応用においては,部分欠損歯列に対し口腔内スキャニングを行い,補綴装置の製作を行った症例をもとに,口腔内スキャナーを用いて補綴装置を製作する際の問題点について考察する.
部分欠損歯列に対する口腔内スキャナーの基本原理を整理するとともに,現在の研究進捗,臨床応用について,および今後の展望について紹介させていただき,日々の研究や臨床活動に生かせる情報提供ができれば幸いである.