講演情報
[ES3-2]部分欠損歯列における口腔内スキャニングの勘所 ―論文投稿の実際とその後の臨床応用に向けて―
*四ツ谷 護1 (1. 東京歯科大学クラウンブリッジ補綴学講座)
口腔内スキャナーを用いた光学印象に関する精確さ(Accuracy)の検証は、これまでさまざまな撮影条件との関連に着目して報告されている。このスキャンデータの精確さに影響する因子には、スキャン範囲、スキャンパス、スキャン対象の表面形状、被写界深度、口腔内環境(開口量、唾液、舌や頬粘膜などの軟組織)などがある。近年、口腔内スキャナーによる光学印象が保険収載され、ますますチェアサイドにおける口腔内スキャナーの使用頻度が増えていくものと考えられる。従来のシリコーンゴム印象材を用いた精密印象法の代替として行われる光学印象だけでなく、概形印象として研究用模型データを得るための光学印象としても活用されていくと思われる。しかしながら広範囲な光学印象では、スキャニング中の撮影中断やスキャンデータを繋ぎ合わせる(スティッチング)際に生じる誤差の影響は避けられず、また各社機種により推奨スキャンパスが異なることもあり、精確な全顎範囲のスキャンデータを得るには、まだ多くの問題点が残されていると考えられる。本セッションでは、スキャン範囲、スキャンパスおよび被写界深度にフォーカスした研究成果を提示し、併せて論文投稿時の査読コメント紹介することで、今後の研究者にとって有益な情報共有となるように議論していきたい。