講演情報

[ES7-2]明日からの補綴治療の質を高めるLOT

*河村 篤志1 (1. 東海支部)
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歯肉縁下カリエスや歯冠破折などにより健全歯質の確保が難しいケースでは,補綴装置の維持・適合性が低下し,長期的な予後に不安を抱えるリスクが高まる.補綴治療の成功にはフェルールの確保が不可欠であり,そのための有効な手段として矯正的挺出が挙げられる.挺出を行うことで,補綴治療の予知性を向上させるだけでなく,歯周組織の健康維持にも寄与できる.
 矯正的挺出は,比較的小さな矯正力で歯を計画的に移動させることが可能であり,固定源への配慮やトラブルが少なく,低侵襲な術式と言える.しかし,単独で治療が完結することは稀で,多くの場合,挺出後に歯周外科処置や歯冠修復が必要となる.そのため,補綴医がこの術式を理解し,適切なタイミングで活用できるようになることが望ましい.
 本講演では,「補綴医が知っておきたい矯正的挺出の勘所」と題して,矯正的挺出の目的と適応症例の見極め方,治療計画の立案,使用する装置の選択,ならびに臨床的な注意点について解説する.補綴医がLOTの概念を理解し,日常臨床で効果的に応用できる手助けとなれば幸いである.