講演情報
[HS1-1]内視鏡による嚥下機能評価
*玉田 泰嗣1 (1. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)
キーワード:
嚥下内視鏡検査、嚥下機能評価、検査手技
外来診療および訪問歯科診療において,嚥下障害を疑う場面や介護者から食事に関する相談を受ける機会が増えている.反復唾液嚥下テストや改訂水飲みテストに代表される簡易嚥下機能検査により,ある程度の確度で嚥下障害の有無は評価可能である.しかし,嚥下障害の程度や障害に対する有効な代償法を簡易嚥下機能検査だけで判断し探し出すことは困難である.嚥下機能検査のゴールドスタンダードは,嚥下内視鏡検査および嚥下造影検査であり,互いの欠点を補完し合う関係にあるが,検査装置の大きさなどの理由から,歯科医院で嚥下造影検査を行うことは困難な場合が多い.嚥下内視鏡検査は,症状と病態の関係を明らかにする「診断のための検査」であり,安全に嚥下可能な食形態・体位・摂食方法などを探しだし治療に活かす「治療のための検査」である.よって,映し出される検査画像から誤嚥や咽頭残留などの所見を見逃さないことも必須だが,既往歴を含む全身状態・介護状況・日常の食形態・指示理解度などを総合的に判断し有意義な検査とする必要がある.本セミナーでは,易出血部位を含む解剖学的ランドマークの確認,鼻腔挿入時から代償法試行時の注意点を含め安全に有意義な検査となる技能の基礎を習得して頂きたい.