講演情報
[HS5]包括的補綴歯科治療に必須なペリオドンタルプラスティックサージェリー
*小田 師巳1、園山 亘1 (1. 岡山大学)
キーワード:
上皮下結合組織移植(CTG)、歯槽堤増大術、歯肉造成術
患者が求める“審美”は高度化しており,補綴歯科治療の長期的な成功を得るには,補綴装置だけではなく,周囲軟組織に対する配慮が求められる.軟組織が経年的に変化することは経験的にも明らかであり,特に薄いフェノタイプでは外傷や炎症に対する感受性が高く,歯肉退縮のリスクが高いことが知られている.補綴歯科治療に着目した場合,クラウン装着そのものや歯肉縁下への介入によって歯肉退縮のリスクが高まることが報告されており,長期的に安定した周囲軟組織を得るには,軟組織の厚みを確保することが重要な要素のひとつであると考える.軟組織への介入手段であるペリオドンタルプラスティックサージェリーは,適切な診断に基づいて,適切な手技を用いれば,その効果はたいへん大きい.なかでも,上皮下結合組織移植 (connective tissue graft: CTG) は軟組織の厚みを増すための最も効果的な手技とされており,CTGによって造成された軟組織が長期的に安定しうることも多く報告されている.したがって,CTGを必要に応じて患者に適応できるスキルを持つということは,我々が行う補綴歯科治療が,患者に長期的に高い審美レベルで受け入れられるために必須であると言っても過言ではない.そこで,本セミナーでは,補綴前処置としてのCTGを用いた“天然歯周囲の歯肉造成術”と“欠損部位に対する歯槽堤増大術”を取り上げ,その背景と手技の再確認を行いたい.そのうち,“口蓋からの上皮下結合組織採取”と“上皮下結合組織を用いた歯槽堤増大術”について,ハンズオン実習を通して習得していただきたいと考えている.