講演情報
[LS10]ミリングデンチャーの可能性と作製方法
*窪木 拓男1 (1. 岡山大学学術研究院医歯薬学域インプラント再生補綴学分野)
総義歯の作成において,CAD/CAD技術が応用され始めてからかなりの時間が経過した.総義歯においての大きな問題点は,その製作コストの問題であった.特に,ミリングデンチャーの場合には,重合度の高いレジンブロックをミリングマシンで削合し,既製の人工歯を接着する方法がとられる場合が多かったが,長い間,人工歯の基底面のデジタルデータが開示されず,開示された後もその接合精度が十分でなく,人工歯と床部のMMAレジンの接着に問題があるなど課題も多かった.また,本邦における保険制度で許された作製経費の制限から,3Dプリンターにより床部をAdditive Manufacturingにより造型するという方法もとられているが,ミリングデンチャーに比較すると重合後の変形や吸水性が問題になった.そこで,床部のレジンと人工歯のレジンを突き合わせた二層構造のレジンブロックを削り出す方法などが取られるようになった.また,本講演では,現在のミリングデンチャーの手法の到達点をご紹介し,学会に参加された臨床家の先生方とその可能性について議論したいと考えている.