講演情報

[LS2]歯科用PEEKの現状と今後の可能性

*菅原 克彦1 (1. 有限会社ケイエスデンタル)
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キーワード:

PEEKの特性、PEEK補綴の臨床考察、PEEK補綴の可能性

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は2023年12月に保険収載されたことで注目を集め一年以上経過しました.2018 年から広島大学病院において, “最後方大臼歯部への PEEK クラウンの臨床応用研究” が行われておりその全ケースの補綴製作を弊社にて担当させて頂きました.
 PEEKは耐久性/生体適合性/吸水性など優れた機械的特性をもっており皮質骨とほぼ同じ硬さから海外ではチタンの代替材料として医科分野で使用が開始されています.またPEEK材料は多くの分野で導入されておりスポーツ医学の分野ではスーチャーアンカーなどの用途,工業会では航空宇宙分野などの部品にも多用されPEEKの優れた耐疲労性/耐摩耗性を活かし自動車では金属ギヤなどの代替材料として選択されています.
 このように非常に優れた特性をもったPEEKですが,歯科分野では色調が悪い/脱離するのではないか/研磨が難しい/柔らかいのですり減るのではないか?などネガティブな情報が多かったように感じております.
 そこで本講演では臨床研究と臨床症例から得た情報を基にPEEKの実際を考察したいと思います.またPEEK素材の特性をいかし,表面処理技術や接着性向上などの進化に伴い高い耐久性と生体適合性から今後の研究や更なる技術向上によってクラウン以外の歯科補綴装置(ポストコア/ブリッジ/各種維持装置/床材/アバットメント)など,多くの可能性が期待できるのではないかと考えており今後の展望としてご紹介させていただきたいと思います.