講演情報
[O1-6]人参養栄湯による老化促進マウスの唾液分泌促進
*倉方 知樹1、近藤 祐介1、中村 旭宏1、野代 知孝1、宗政 翔1、向坊 太郎1、細川 隆司1、正木 千尋1 (1. 九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学)
【目的】
口腔乾燥症はカリエスリスクの上昇,可撤性義歯の装着困難などを引き起こし,補綴治療に対するリスク因子となる.その原因の一つとして加齢が挙げられる.一方,人参養栄湯は近年,動物実験において生命予後を延長させることなどが報告されており,その抗老化作用が注目されている.そこで本研究では,老化促進モデルマウスを用いて人参養栄湯が顎下腺に及ぼす影響を明らかにし,人参養栄湯の老化に伴う口腔乾燥症治療への応用を検討することを目的とした.
【方法】
実験にはオスの老化促進モデルマウス(Senescence-accelerated mouse prone 1)を用いた.8か月齢から12か月齢まで,実験群(NYT群,n=7)には人参養栄湯(株式会社ツムラ)を混合した飼料(CE-2(日本クレア)+3%人参養栄湯)を,コントロール群(n=7)には通常の飼料(CE-2)を投与した.その後,顎下腺を支配動脈と導管を含めて摘出し,生理食塩水で灌流したEx vivo灌流モデル(0.3μMカルバコール),RNAシークエンス,リアルタイムPCRを行った.統計学的解析にはStudent's t-testを用い,α=0.05とした.
【結果と考察】
Ex vivo灌流モデルにおける唾液分泌量は,NYT群で有意に高値を示した(p=0.017).RNAシークエンスではGO(Gene Ontology)解析においてサイトカイン生成や代謝,血管新生に関連する遺伝子などが,KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)パスウェイ解析ではMAPK signaling pathwayやIL-17 signaling pathway,TNF signaling pathwayに関連する遺伝子などの発現がNYT群で上昇していた.リアルタイムPCRでは唾液分泌に関わるTMEM16AおよびAQP5,老化マーカー(p16,p21,p53)の発現量はNYT群とコントロール群で同等だったが,炎症性サイトカイン(IL-1β,IL-6,TNF-α)および抗炎症性サイトカイン(IL-10)の発現量は,NYT群で高値を示した.以上より,人参養栄湯の投与により老化マウスにおける唾液分泌量が増加し,そのメカニズムに免疫応答や細胞増殖,分化が関与している可能性が示唆された.
口腔乾燥症はカリエスリスクの上昇,可撤性義歯の装着困難などを引き起こし,補綴治療に対するリスク因子となる.その原因の一つとして加齢が挙げられる.一方,人参養栄湯は近年,動物実験において生命予後を延長させることなどが報告されており,その抗老化作用が注目されている.そこで本研究では,老化促進モデルマウスを用いて人参養栄湯が顎下腺に及ぼす影響を明らかにし,人参養栄湯の老化に伴う口腔乾燥症治療への応用を検討することを目的とした.
【方法】
実験にはオスの老化促進モデルマウス(Senescence-accelerated mouse prone 1)を用いた.8か月齢から12か月齢まで,実験群(NYT群,n=7)には人参養栄湯(株式会社ツムラ)を混合した飼料(CE-2(日本クレア)+3%人参養栄湯)を,コントロール群(n=7)には通常の飼料(CE-2)を投与した.その後,顎下腺を支配動脈と導管を含めて摘出し,生理食塩水で灌流したEx vivo灌流モデル(0.3μMカルバコール),RNAシークエンス,リアルタイムPCRを行った.統計学的解析にはStudent's t-testを用い,α=0.05とした.
【結果と考察】
Ex vivo灌流モデルにおける唾液分泌量は,NYT群で有意に高値を示した(p=0.017).RNAシークエンスではGO(Gene Ontology)解析においてサイトカイン生成や代謝,血管新生に関連する遺伝子などが,KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)パスウェイ解析ではMAPK signaling pathwayやIL-17 signaling pathway,TNF signaling pathwayに関連する遺伝子などの発現がNYT群で上昇していた.リアルタイムPCRでは唾液分泌に関わるTMEM16AおよびAQP5,老化マーカー(p16,p21,p53)の発現量はNYT群とコントロール群で同等だったが,炎症性サイトカイン(IL-1β,IL-6,TNF-α)および抗炎症性サイトカイン(IL-10)の発現量は,NYT群で高値を示した.以上より,人参養栄湯の投与により老化マウスにおける唾液分泌量が増加し,そのメカニズムに免疫応答や細胞増殖,分化が関与している可能性が示唆された.