講演情報
[O2-5]歯冠色で積層造形した義歯床に対する歯肉色レジンの塗布回数が色調におよぼす影響
*大友 顕一郎1、齋藤 壮1、小林 崇史1、竜 正大1、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学 老年歯科補綴学講座)
【目的】
積層造形法による可撤性義歯の製作において,人工歯と義歯床を一塊で歯冠色レジンにて印刷し試適用義歯を製作する方法がある.その試適用義歯の義歯床研磨面に,歯肉色レジンで着色を行い審美的な問題を解決する方法がある.
着色には液体タイプの歯肉色レジンを塗り重ねる方法が用いられることあるが,その塗布回数が色調に及ぼす影響は明らかになっていない.
本研究は積層造形法用歯冠色レジンに液体タイプの歯肉色レジンを塗布した際の,塗布回数による色調への影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】
積層造形用歯冠色レジン(denture teeth A3,Kulzer)で平坦な試料片を印刷した.表面にサンドブラスト処理を行い歯肉色レジン(Nu:leコート リキッド GUM,YAMAKIN)を技工用筆にて塗布し歯科技工用光重合器(HiLite power 3D,kulzer)にて重合を行った.歯肉色レジンの塗布は1回,2回または3回行った.試料は各群8個ずつ製作した.
歯肉色レジン塗布面の色調(L*,a*,b*)を歯科用色彩計(Shade Eye,松風)により計測した.L*,a*,b*の値は各試料の任意の5点の平均値を用いた.塗布回数別のL*,a*,b*の比較をするためKraskal-Wallis検定後Bonferroni補正を行ったMann-Whitney U検定で解析した.(α=0.05) 色調の値からCIEDE2000色差式で塗布回数間の色差を算出した.
【結果と考察】
塗布回数1回の色調(平均値±標準偏差)はL*が62.62±0.91,a*が16.68±1.37,b*が16.87±0.27であった.2回の色調はL*が57.55±1.60,a*が24.83±2.54,b*が17.36±0.29であり,3回の色調はL*が55.72±1.08,a*が28.16±1.60,b*が17.5±0.20であった.1回と2回間でのL*,a*および1回と3回間でのL*,a*,b*で有意差を認めた.2回と3回の間に有意差は認められなかった.色差は1回と2回で6.72,2回と3回で2.43であった.
色差が2.7未満であれば同じ色として知覚出来るとされているが,2回と3回ではその値を下回っていた.
塗布回数1回と2回の間にのみに違いが認められたため,臨床応用する際には2回と3回どちらでも十分な色調を確保可能と示唆された.
積層造形法による可撤性義歯の製作において,人工歯と義歯床を一塊で歯冠色レジンにて印刷し試適用義歯を製作する方法がある.その試適用義歯の義歯床研磨面に,歯肉色レジンで着色を行い審美的な問題を解決する方法がある.
着色には液体タイプの歯肉色レジンを塗り重ねる方法が用いられることあるが,その塗布回数が色調に及ぼす影響は明らかになっていない.
本研究は積層造形法用歯冠色レジンに液体タイプの歯肉色レジンを塗布した際の,塗布回数による色調への影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】
積層造形用歯冠色レジン(denture teeth A3,Kulzer)で平坦な試料片を印刷した.表面にサンドブラスト処理を行い歯肉色レジン(Nu:leコート リキッド GUM,YAMAKIN)を技工用筆にて塗布し歯科技工用光重合器(HiLite power 3D,kulzer)にて重合を行った.歯肉色レジンの塗布は1回,2回または3回行った.試料は各群8個ずつ製作した.
歯肉色レジン塗布面の色調(L*,a*,b*)を歯科用色彩計(Shade Eye,松風)により計測した.L*,a*,b*の値は各試料の任意の5点の平均値を用いた.塗布回数別のL*,a*,b*の比較をするためKraskal-Wallis検定後Bonferroni補正を行ったMann-Whitney U検定で解析した.(α=0.05) 色調の値からCIEDE2000色差式で塗布回数間の色差を算出した.
【結果と考察】
塗布回数1回の色調(平均値±標準偏差)はL*が62.62±0.91,a*が16.68±1.37,b*が16.87±0.27であった.2回の色調はL*が57.55±1.60,a*が24.83±2.54,b*が17.36±0.29であり,3回の色調はL*が55.72±1.08,a*が28.16±1.60,b*が17.5±0.20であった.1回と2回間でのL*,a*および1回と3回間でのL*,a*,b*で有意差を認めた.2回と3回の間に有意差は認められなかった.色差は1回と2回で6.72,2回と3回で2.43であった.
色差が2.7未満であれば同じ色として知覚出来るとされているが,2回と3回ではその値を下回っていた.
塗布回数1回と2回の間にのみに違いが認められたため,臨床応用する際には2回と3回どちらでも十分な色調を確保可能と示唆された.