講演情報

[O2-6]裸眼立体視による新規ブラッシング指導ツールの開発~第一 報~

*相川 雅志1、川西 範繁1、足立 拓也1、中野 亜希人2、板宮 朋基2、田中 欽也3、木本 克彦1、星 憲幸4 (1. 神奈川歯科大学 歯科補綴学講座 クラウンブリッジ補綴学分野、2. 神奈川歯科大学歯学部 総合歯学教育学講座、3. 西関東支部、4. 神奈川歯科大学 口腔デジタルサイエンス学分野)
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【目的】
 従来の歯科保健指導は手鏡や歯列模型を用いて行われるが, 患者ごとに歯牙や歯列の形態が異なり, 特に叢生などの歯列不正やブリッジなど補綴装置を装着している場合にはセルフケアが困難である. そのため, 個別対応の指導が求められている. 本研究では, 裸眼立体視技術と三次元位置計測技術を併用して口腔内を3D画像として再現する空間再現ディスプレイを用い, 効果的な歯科保健指導を可能にするシステムを開発し, その有用性を検討した. 今回は, このシステムを実際に使用した歯科衛生士および歯科医師から得られた意見を報告する.
【方法】
 本研究は神奈川歯科大学附属病院の歯科医師および歯科衛生士を対象とした. 空間再現ディスプレイ(ソニー, ELF-SR1, 2020)および三次元位置計測センサー(Ultraleap 3Di, 2022)を使用し, 歯列を3D画像としてディスプレイ上に表示した. 1)(図)これをブラッシング指導に応用し, 指導後に準備したアンケートを用いて意見を収集した. 本研究は倫理審査委員会承認(No.979)のもとで実施された.
【結果と考察】
 アンケートの結果, 患者が自身の口腔内の状況を客観的に確認できる点で, 指導に対するインパクトが高いとの意見が得られた. センサーの動作と裸眼立体ディスプレイの画像表示にタイムラグがなく, 歯ブラシの動きをリアルタイムで可視化できる点が高く評価された. また, デジタル機器への親しみがある若い世代において, 指導効果の向上が期待できるとの意見もあった. 今後は, IOS(Intra Oral Scanner)で取得した患者の口腔内データを裸眼立体ディスプレイに出力し, より個別化された指導を実現することを目指す. さらに, 職員を対象に継続的な試用を実施して改善点を収集し, 修正を加えた上で, 実際の患者を対象に従来法との比較検証を行い, 新たな指導法の有効性を明らかにしていく予定である.
【参考文献】
1)Itamiya T, To M, Oguchi T et al. A Novel Anatomy Education Method Using a Spatial Reality Display Capable of Stereoscopic Imaging with the Naked Eye. Applied Sciences 2021; 11(16):7323.