講演情報
[O2-8]壮年期から高齢期における嚥下機能と舌骨上筋群、舌骨の位置に関する検討
*奥 由里1、水頭 英樹1、藤本 けい子1、市場 裕康2、萬好 哲也3、永尾 寛1 (1. 徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔顎顔面補綴学分野、2. 関西支部、3. 東海支部)
【目的】
肺炎・誤嚥性肺炎は我が国の主要な死因の1つであり,嚥下機能低下の早期発見と早期介入は喫緊の課題である.口腔機能低下症の保険適応範囲が65歳以上から50歳以上へと拡大されたことから,壮年期から嚥下機能管理を行うことで嚥下機能低下の早期発見につながると考えた.そこで本研究では壮年期も含めた幅広い年代を対象に嚥下機能低下を予測する因子を探索することを目的とした.
【方法】
対象者は,徳島大学病院そしゃく科に通院中の患者と徳島大学職員を合わせた80名(A群:25-34歳20名,B群:50-64歳20名,C群:65-74歳20名,D群:75歳以上20名)とした.嚥下機能障害と診断されているもの,ペースメーカー装着しているものは除外した.嚥下機能の測定は,反復唾液嚥下テスト(RSST)を用いた.舌骨上筋群の評価には,超音波診断装置(Lumify, フィリップス社)を用いてオトガイ舌骨筋断面積(GMA)を測定した.舌骨の垂直的位置の指標として,側方セファロブラムを撮影し,解析ソフト(Win Ceph Ver.11;ライズ社)を用いて舌骨上縁(H)からMPラインまでの垂線の長さ(MP-H)を測定した.また,年齢,性別,舌圧,開口力を測定した.年齢群別に,傾向検定(Jonckheere-Terpstra trend test)を行った.次に嚥下機能による影響を調査するために,RSSTの中央値を基準にRSST高値とRSST低値の2群に分け,Mann-Whitney U検定を行った.
【結果と考察】
加齢とともにMP-Hは増加する傾向を示し,舌圧とRSST,握力,GMAは減少する傾向を示した.RSST高値群とRSST低値群の間で,年齢や開口力,GMAは有意な差が認められたが,MP-Hは有意な差を認めなかった.本研究では,舌骨の垂直的位置や嚥下機能は加齢とともに低下する傾向を示したが,RSSTで分けた2群間で舌骨の垂直的位置と有意な差は認められなかった.今後はVFやVEを用いて舌骨の垂直的位置との関連を調査する予定である.また,RSSTで分けた2群間で開口力やオトガイ舌骨筋断面積は有意な差が認められたことから,嚥下機能低下と口腔関連筋との関連を詳細に調査することが必要である.
肺炎・誤嚥性肺炎は我が国の主要な死因の1つであり,嚥下機能低下の早期発見と早期介入は喫緊の課題である.口腔機能低下症の保険適応範囲が65歳以上から50歳以上へと拡大されたことから,壮年期から嚥下機能管理を行うことで嚥下機能低下の早期発見につながると考えた.そこで本研究では壮年期も含めた幅広い年代を対象に嚥下機能低下を予測する因子を探索することを目的とした.
【方法】
対象者は,徳島大学病院そしゃく科に通院中の患者と徳島大学職員を合わせた80名(A群:25-34歳20名,B群:50-64歳20名,C群:65-74歳20名,D群:75歳以上20名)とした.嚥下機能障害と診断されているもの,ペースメーカー装着しているものは除外した.嚥下機能の測定は,反復唾液嚥下テスト(RSST)を用いた.舌骨上筋群の評価には,超音波診断装置(Lumify, フィリップス社)を用いてオトガイ舌骨筋断面積(GMA)を測定した.舌骨の垂直的位置の指標として,側方セファロブラムを撮影し,解析ソフト(Win Ceph Ver.11;ライズ社)を用いて舌骨上縁(H)からMPラインまでの垂線の長さ(MP-H)を測定した.また,年齢,性別,舌圧,開口力を測定した.年齢群別に,傾向検定(Jonckheere-Terpstra trend test)を行った.次に嚥下機能による影響を調査するために,RSSTの中央値を基準にRSST高値とRSST低値の2群に分け,Mann-Whitney U検定を行った.
【結果と考察】
加齢とともにMP-Hは増加する傾向を示し,舌圧とRSST,握力,GMAは減少する傾向を示した.RSST高値群とRSST低値群の間で,年齢や開口力,GMAは有意な差が認められたが,MP-Hは有意な差を認めなかった.本研究では,舌骨の垂直的位置や嚥下機能は加齢とともに低下する傾向を示したが,RSSTで分けた2群間で舌骨の垂直的位置と有意な差は認められなかった.今後はVFやVEを用いて舌骨の垂直的位置との関連を調査する予定である.また,RSSTで分けた2群間で開口力やオトガイ舌骨筋断面積は有意な差が認められたことから,嚥下機能低下と口腔関連筋との関連を詳細に調査することが必要である.