講演情報
[O2-9]顎補綴治療を行った患者の口腔機能と栄養状態の関連性
*磯村 美智子1、吉岡 文1、尾澤 昌悟1、武部 純1、秦 正樹1、松川 良平1 (1. 愛知学院大学歯学部附属病院有床義歯学講座)
【目的】
腫瘍や先天性疾患による顎欠損等に対し,顎補綴治療により口腔機能が回復されることが数多く報告されている.また近年,一般高齢者における口腔機能と栄養状態の関連性について報告されている1,2).そこで今回,口腔機能低下症の検査MNA-SFを利用して,顎補綴装置装着者の口腔機能と栄養状態の関連性について検討した.
【方法】
腫瘍および先天性疾患により顎補綴治療が適応になり,顎補綴装置の製作後,経過が良好で本研究の趣旨を十分に理解し同意が得られた 145 名を対象とした.口腔機能の評価は,日本老年歯科医学会の口腔機能低下症の診断基準に従い行った.栄養状態の評価は,MNA-SFを利用し低栄養,リスク,栄養状態良好の3段階で評価した.口腔機能低下症の7つの検査項目と欠損状態のどの要因が栄養状態に関連しているかを解析するために,ロジスティック回帰分析を行った.
【結果】
口腔機能低下において,若年者群に比べて高齢者群が高く認められた.欠損状態別では,舌欠損群が他の群と比較して口腔機能低下の割合が高かった.栄養状態については,高齢者群の方が低栄養またはリスクの割合が高かった.欠損状態別では,舌欠損群が他の群と比較して低栄養またリスクの割合が高かった.また,ロジスティック回帰分析の結果,舌欠損群,舌口唇機能,舌圧,嚥下機能に栄養状態との有意な関連が認められた.
【考察】
本研究では,顎補綴装置装着者の口腔機能低下が栄養状態と関連していることが分かった.特に,舌欠損,舌口唇機能の低下,低舌圧,嚥下機能障害は低栄養またはリスクと関係していることが明らかになった.本研究から,顎欠損や舌欠損患者の対する栄養面のサポートに有用な研究データを得ることができた.
【参考文献】
1)Iwasaki M, Motokawa K, Watanabe Y, et al. Oral hypofunction and malnutrition among community-dwelling older adults. Gerodontology 2022; 39: 17-25.
2)Okada M, Hama Y, Futatsuya R, et al. Association between masticatory performance, nutritional intake, and frailty in Japanese older adults. Nutrients 2023; 15: 5075.
腫瘍や先天性疾患による顎欠損等に対し,顎補綴治療により口腔機能が回復されることが数多く報告されている.また近年,一般高齢者における口腔機能と栄養状態の関連性について報告されている1,2).そこで今回,口腔機能低下症の検査MNA-SFを利用して,顎補綴装置装着者の口腔機能と栄養状態の関連性について検討した.
【方法】
腫瘍および先天性疾患により顎補綴治療が適応になり,顎補綴装置の製作後,経過が良好で本研究の趣旨を十分に理解し同意が得られた 145 名を対象とした.口腔機能の評価は,日本老年歯科医学会の口腔機能低下症の診断基準に従い行った.栄養状態の評価は,MNA-SFを利用し低栄養,リスク,栄養状態良好の3段階で評価した.口腔機能低下症の7つの検査項目と欠損状態のどの要因が栄養状態に関連しているかを解析するために,ロジスティック回帰分析を行った.
【結果】
口腔機能低下において,若年者群に比べて高齢者群が高く認められた.欠損状態別では,舌欠損群が他の群と比較して口腔機能低下の割合が高かった.栄養状態については,高齢者群の方が低栄養またはリスクの割合が高かった.欠損状態別では,舌欠損群が他の群と比較して低栄養またリスクの割合が高かった.また,ロジスティック回帰分析の結果,舌欠損群,舌口唇機能,舌圧,嚥下機能に栄養状態との有意な関連が認められた.
【考察】
本研究では,顎補綴装置装着者の口腔機能低下が栄養状態と関連していることが分かった.特に,舌欠損,舌口唇機能の低下,低舌圧,嚥下機能障害は低栄養またはリスクと関係していることが明らかになった.本研究から,顎欠損や舌欠損患者の対する栄養面のサポートに有用な研究データを得ることができた.
【参考文献】
1)Iwasaki M, Motokawa K, Watanabe Y, et al. Oral hypofunction and malnutrition among community-dwelling older adults. Gerodontology 2022; 39: 17-25.
2)Okada M, Hama Y, Futatsuya R, et al. Association between masticatory performance, nutritional intake, and frailty in Japanese older adults. Nutrients 2023; 15: 5075.