講演情報
[O2-12]Intraoral scannerを使用して局部床義歯を製作した症例
*神山 大地2,1、郷土 恵久3 (1. 東関東支部、2. ZERO DENT合同会社、3. 西関東支部)
【緒言】
近年,デジタル技術の発展に伴いデジタルを用いた局部床義歯の製作に関する議論がなされてきた.現在は主に維持装置の製作にデジタル技術が使われているが,3Dプリント模型を使用した場合,義歯の床部分(レジン)とその分離が難しいため,完成までが非常に困難である1).金属フレームはデジタルデータで製作できるが,義歯の完成には石膏模型が必須であり,このような従来の方法では印象不良や適合不良が起こることで従来の印象とは大差ない.そこで今回の研究では,石膏模型は使わず3Dプリンターで模型を作り,金属フレームはモデルレスで製作したことにより,すべての物理的なエラーを排除する方法を開発した.
【症例の概要・治療内容】
対象患者は両側遊離端欠損をもつ70代女性1名,60代女性1名とし,局部床義歯を製作した.材料はコバルトクロムとチタンを用いた.光学印象には口腔内スキャナー(Prime Scan:Dentsply Sirona)を使用し,印象材を使わずに患者のデジタルデータを採得した.フレーム設計にはCADソフトを使用して,デジタルデータをもとに局部床義歯のフレームを設計し,フレーム製作にはCAM技術を用い,ミリングマシンと3Dプリンターでフレームを製作,口腔内でオルタードキャストテクニックを使用し義歯を完成させた.
【経過ならびに考察】
デジタルデータのみで製作したフレームは,患者の口腔内で調整の必要がほとんどなく光学印象が従来法より優れていることが確認され,デジタルデータのみを使った義歯製作は効率的であり,さらに印象材と石膏を使わないことで物理的なエラーを排除し,高精度の局部床義歯を作ることが可能となった.また,局部床義歯の製作では硬組織と軟組織の両方に対応することが必要であるが,オルタードキャストテクニックを使うことでこの課題を解決できた.デジタルデータのみで精巧なフレームを製作することで,硬組織に有利にアプローチし,軟組織はあえてアナログで印象するという組み合わせは,臨床上非常に有効であると自負する.以上のことから,デジタル技術を取り入れることで,従来法では得られない利点が得られると考える.
【参考文献】
1)田坂彰規,山下秀一郎,清水延浩ほか.デジタル技術を活かしたパーシャルデンチャーの臨床応用.日本歯科評論 2024;4:27-51.
近年,デジタル技術の発展に伴いデジタルを用いた局部床義歯の製作に関する議論がなされてきた.現在は主に維持装置の製作にデジタル技術が使われているが,3Dプリント模型を使用した場合,義歯の床部分(レジン)とその分離が難しいため,完成までが非常に困難である1).金属フレームはデジタルデータで製作できるが,義歯の完成には石膏模型が必須であり,このような従来の方法では印象不良や適合不良が起こることで従来の印象とは大差ない.そこで今回の研究では,石膏模型は使わず3Dプリンターで模型を作り,金属フレームはモデルレスで製作したことにより,すべての物理的なエラーを排除する方法を開発した.
【症例の概要・治療内容】
対象患者は両側遊離端欠損をもつ70代女性1名,60代女性1名とし,局部床義歯を製作した.材料はコバルトクロムとチタンを用いた.光学印象には口腔内スキャナー(Prime Scan:Dentsply Sirona)を使用し,印象材を使わずに患者のデジタルデータを採得した.フレーム設計にはCADソフトを使用して,デジタルデータをもとに局部床義歯のフレームを設計し,フレーム製作にはCAM技術を用い,ミリングマシンと3Dプリンターでフレームを製作,口腔内でオルタードキャストテクニックを使用し義歯を完成させた.
【経過ならびに考察】
デジタルデータのみで製作したフレームは,患者の口腔内で調整の必要がほとんどなく光学印象が従来法より優れていることが確認され,デジタルデータのみを使った義歯製作は効率的であり,さらに印象材と石膏を使わないことで物理的なエラーを排除し,高精度の局部床義歯を作ることが可能となった.また,局部床義歯の製作では硬組織と軟組織の両方に対応することが必要であるが,オルタードキャストテクニックを使うことでこの課題を解決できた.デジタルデータのみで精巧なフレームを製作することで,硬組織に有利にアプローチし,軟組織はあえてアナログで印象するという組み合わせは,臨床上非常に有効であると自負する.以上のことから,デジタル技術を取り入れることで,従来法では得られない利点が得られると考える.
【参考文献】
1)田坂彰規,山下秀一郎,清水延浩ほか.デジタル技術を活かしたパーシャルデンチャーの臨床応用.日本歯科評論 2024;4:27-51.