講演情報

[P-103]口腔内スキャナーを応用した成人を対象とする歯科実態調査

*木村 龍弥1、長谷川 ユカ1、渋谷 光広1、中本 哲自1 (1. 朝日大学 歯学部 口腔病態医療学講座 インプラント学分野)
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【目的】
 口腔内スキャナーの導入が進む中,取得した画像の活用方法について様々な検討がなされている.今回,臨床実習にて得られる学生のデータを用いて歯科大学学生の歯科疾患の動態を探るとともに,スキャナーデータの有用性を検証することとした.
【方法】
 口腔内スキャナーによる相互実習を体験した朝日大学歯学部歯学科5年生219名を対象とした(男性137名,女性82名).相互実習では独自に作成した撮影マニュアルを使用し,下顎,上顎そして咬合(右側・左側)の順に4つのデータを取得した.口腔内スキャナーは(TRIOS®3, 3Shape, Copenhagen, Denmark)を使用した.取得したデータから処置歯,喪失歯,Angleの分類,矯正治療の有無の4項目について評価した.
【結果と考察】
 対象学生の平均年齢は24.0±3.0歳であった.処置歯の平均は2.9±3.5本であり,修復物の大半はコンポジットレジン修復であった.一方で,処置歯を有さない学生の割合は42.0%であった.喪失歯は平均0.3±1.1本であり,そのほとんどは矯正による第一小臼歯の便宜抜歯であった.矯正治療中のものが全体の9.1%,矯正治療終了後のものを合わせると16.0%であった.Angleの分類ではⅠ級が57.5%,Ⅱ級が8.3%,Ⅲ級が34.2%であった. 令和4年の歯科疾患実態調査と比較すると20~24歳の処置歯の一人当たりの平均は2.1本であり,やや上回る結果となった.喪失歯では20~24歳での一人当たりの平均は0.3本であったためほぼ一致した.また,20~24歳での矯正治療の経験があるものが19.2%であるのに対しやや下回る結果となった. AngleⅢ級に分類されるものが全体の35%程度存在しているものの,逆被蓋などの異常を認めるのはそのうちの半分に満たなかった.審美的・機能的に大きな異常をきたしてないことが今回の結果につながったものと推察される.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た 倫理審査委員会名:朝日大学倫理審査委員会 承認番号:2023-35028)