講演情報
[P-105]異常検知アルゴリズムを用いた咀嚼能力評価モデルの検証
*船岡 俊介1,2、仲座 海希2、樋口 大輔1,2 (1. 松本歯科大学 歯科補綴学講座、2. 松本歯科大学大学院顎口腔機能制御学講座)
【目的】
現在,我々は開閉口運動時に生じる外耳道内のひずみ波形を解析するAIの開発しており,咀嚼能力については高精度で分類できることを報告した1).しかし,モデル構築の過程で咀嚼良好者と非良好者のデータ数の偏りを補正する必要があったため,SMOTE(Synthetic Minority Over-sampling Technique)を用いたオーバーサンプリングにより,少数の咀嚼非良好者データから架空の被験者データを生成した.しかし,類似の研究では,生成データへの依存度が高い点や,完全な実データによる検証ではないことが,信頼性や実用性の課題として指摘されている2).そこで本研究では,実データのみで対応可能な異常検知アルゴリズムを複数適用し,それぞれの有効性を評価することを目的とした.
【方法】
対象は,松本歯科大学病院の教職員,同病院および関連施設での治療中患者で,研究参加に同意を得られた者の計220名である.被験者に耳栓型センサーを装着し,グミゼリー咀嚼時の外耳道に生じるひずみを計測し,計測されたひずみ波形データを解析し,28個の特徴量を抽出,学習を行った.適用した異常検知アルゴリズムは,咀嚼良好者のデータのみを学習する手法としてオートエンコーダおよび統計的手法を,咀嚼良好者と非良好者の両方を学習する手法としてアイソレーションフォレストを採用した.
【結果と考察】
今回用いた220名の実データでは分類システムの構築が困難であった.これは波形から得られる特徴量に明確な差異がないことが原因と考えられ,先行研究のような両クラス(咀嚼良好者・非良好者)を学習することが必要であり,現状では生成データの活用が避けられないと考えられた.今後は,被験者数を増加させるとともに,より実データに近い合成データの作成やデータ拡張技術の導入を検討し,分類精度の向上を図り,咀嚼能力を分類するアルゴリズムの構築に不可欠であると考えられた.
【参考文献】
1) Blagus R, Lusa L. SMOTE for high-dimensional class-imbalanced data. BMC Bioinformatics 2013;14:106.
現在,我々は開閉口運動時に生じる外耳道内のひずみ波形を解析するAIの開発しており,咀嚼能力については高精度で分類できることを報告した1).しかし,モデル構築の過程で咀嚼良好者と非良好者のデータ数の偏りを補正する必要があったため,SMOTE(Synthetic Minority Over-sampling Technique)を用いたオーバーサンプリングにより,少数の咀嚼非良好者データから架空の被験者データを生成した.しかし,類似の研究では,生成データへの依存度が高い点や,完全な実データによる検証ではないことが,信頼性や実用性の課題として指摘されている2).そこで本研究では,実データのみで対応可能な異常検知アルゴリズムを複数適用し,それぞれの有効性を評価することを目的とした.
【方法】
対象は,松本歯科大学病院の教職員,同病院および関連施設での治療中患者で,研究参加に同意を得られた者の計220名である.被験者に耳栓型センサーを装着し,グミゼリー咀嚼時の外耳道に生じるひずみを計測し,計測されたひずみ波形データを解析し,28個の特徴量を抽出,学習を行った.適用した異常検知アルゴリズムは,咀嚼良好者のデータのみを学習する手法としてオートエンコーダおよび統計的手法を,咀嚼良好者と非良好者の両方を学習する手法としてアイソレーションフォレストを採用した.
【結果と考察】
今回用いた220名の実データでは分類システムの構築が困難であった.これは波形から得られる特徴量に明確な差異がないことが原因と考えられ,先行研究のような両クラス(咀嚼良好者・非良好者)を学習することが必要であり,現状では生成データの活用が避けられないと考えられた.今後は,被験者数を増加させるとともに,より実データに近い合成データの作成やデータ拡張技術の導入を検討し,分類精度の向上を図り,咀嚼能力を分類するアルゴリズムの構築に不可欠であると考えられた.
【参考文献】
1) Blagus R, Lusa L. SMOTE for high-dimensional class-imbalanced data. BMC Bioinformatics 2013;14:106.