講演情報
[P-123]歯科技工粉じん吸入装置の新たなシステム構築の提案
*水頭 英樹1、藤本 けい子1、奥 由里1、永尾 寛1 (1. 徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔顎顔面補綴学分野)
【目的】
歯科材料はコバルトやニッケル等の有害材料を含んでおり,また研削時に肺胞にまで達する4μm以下の微細粒子を発生させ,歯科技工は極めて危険性の高い作業を含んでいる.産業界では危険化学物質粒子や微細粒子を取り扱う際,効率的に有害物質を排気するシステムであるプッシュプル(噴出-吸入)型排気システムが労働安全衛生法粉じん障害防止規則によって定められている.しかし,歯科業界での排気システムはプル(吸入)装置のみであり効果的に有害物質を排気できているとは言えない1).そこで,技工操作時に発生する微細粒子を効率的に排気するために,プッシュ(排出)装置を自作し,プッシュプル型排気システムを歯科技工に適応し,最適な排気条件を明らかにする.
【方法】
プル装置(吸入側)は徳島大学病院歯科技工室のアビリテック技工机(モリタ東京製作所.東京)のバキューム(吸入口;縦5×横10cm)を使用した.プッシュ装置(排出側)はACプロペラファンT-MU14285-11―GP(オリエンタルモーター,東京)にアクリル製フード(15×15cm)を自作し排出風速を調節できるようにした.吸入側のバキューム中央を中心とし正面にプッシュ装置を設置した.風速はプシュプル装置の中央を基準として,水平に0~45°の15°ごと,距離は5~15cmの5cmごとの計13点を設定し,机から上方3cmで風速を10秒ごと10回測定した.また,フードの位置を固定しプッシュ装置を前方(吸入側まで15cm)~後方(吸入側まで30cm)まで5cmごとに変化させた.
【結果と考察】
吸入装置のみの場合,労働安全衛生法粉じん障害防止規則の通達で定められている風速1.0m/sを満たしているのは吸入口直近の点だけであった.フードを使用した方がフード無しより排出装置から吸入装置までの点では風速が高く,外れた位置では風量が低い傾向がみられた.また,プッシュ装置がプル装置に近いほど風速が大きい傾向となった.プッシュ装置・プル装置間で研削を行えば法令で示された風速を十分満たすことが示された.一方でフードの吹き口付近では風速のばらつきが大きく乱流が生じていることが示唆されたためフードの形態を改良する必要がある.
【参考文献】
1)丸岡豊,高鍋雄亮,近藤順子ほか.歯科用高速切削機器使用時に発生する微粒子の可視化実験による検討.日口外誌 2022;68:443-451.
歯科材料はコバルトやニッケル等の有害材料を含んでおり,また研削時に肺胞にまで達する4μm以下の微細粒子を発生させ,歯科技工は極めて危険性の高い作業を含んでいる.産業界では危険化学物質粒子や微細粒子を取り扱う際,効率的に有害物質を排気するシステムであるプッシュプル(噴出-吸入)型排気システムが労働安全衛生法粉じん障害防止規則によって定められている.しかし,歯科業界での排気システムはプル(吸入)装置のみであり効果的に有害物質を排気できているとは言えない1).そこで,技工操作時に発生する微細粒子を効率的に排気するために,プッシュ(排出)装置を自作し,プッシュプル型排気システムを歯科技工に適応し,最適な排気条件を明らかにする.
【方法】
プル装置(吸入側)は徳島大学病院歯科技工室のアビリテック技工机(モリタ東京製作所.東京)のバキューム(吸入口;縦5×横10cm)を使用した.プッシュ装置(排出側)はACプロペラファンT-MU14285-11―GP(オリエンタルモーター,東京)にアクリル製フード(15×15cm)を自作し排出風速を調節できるようにした.吸入側のバキューム中央を中心とし正面にプッシュ装置を設置した.風速はプシュプル装置の中央を基準として,水平に0~45°の15°ごと,距離は5~15cmの5cmごとの計13点を設定し,机から上方3cmで風速を10秒ごと10回測定した.また,フードの位置を固定しプッシュ装置を前方(吸入側まで15cm)~後方(吸入側まで30cm)まで5cmごとに変化させた.
【結果と考察】
吸入装置のみの場合,労働安全衛生法粉じん障害防止規則の通達で定められている風速1.0m/sを満たしているのは吸入口直近の点だけであった.フードを使用した方がフード無しより排出装置から吸入装置までの点では風速が高く,外れた位置では風量が低い傾向がみられた.また,プッシュ装置がプル装置に近いほど風速が大きい傾向となった.プッシュ装置・プル装置間で研削を行えば法令で示された風速を十分満たすことが示された.一方でフードの吹き口付近では風速のばらつきが大きく乱流が生じていることが示唆されたためフードの形態を改良する必要がある.
【参考文献】
1)丸岡豊,高鍋雄亮,近藤順子ほか.歯科用高速切削機器使用時に発生する微粒子の可視化実験による検討.日口外誌 2022;68:443-451.