講演情報
[P-126]デジタル総義歯モデルの活用法が咬合平衡に関する学生の理解度に与える教育効果
*高野 智史1、竜 正大1、太田 緑1、石田 晃裕1、齋藤 壮1、中澤 和真1、小林 嵩史1、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学 老年歯科補綴学講座)
【目的】
歯学生の多くは顎運動や口腔内での義歯の挙動をイメージできず,咬合様式や咬合平衡の理解を苦手とする傾向がある.そのため,それらのイメージ構築を支援する教育ツールを開発することで,この課題の改善につながるのではないかと考えた. 我々は360度いずれの方向からも顎運動が観察可能なデジタル総義歯モデルを作成して,その教育効果についてこれまでに報告してきた.今回,従来型の方略とデジタル総義歯モデルを用いた方略との組み合わせによる教育効果を検討することとした.
【方法】
東京歯科大学第5学年の学生128名を対象とし,従来から行っているスモールグループディスカッション(SGD)とデジタル総義歯モデルを活用した講義(デジタルモデル学習)を行った.先にSGDを行う群(SGD群)(n=67)と先にデジタルモデル学習を行う群(デジタルモデル学習群)(n=61)に分け,10点満点でプレテストとポストテストを行い,理解度を比較した.統計解析は,SGD群とデジタルモデル学習群の群間比較はMann-WhitneyのU 検定を用い,群内比較はWilcoxonの符号順位検定を用いて比較した.有意水準は0.05とした.
【結果と考察】
SGD群とデジタルモデル学習群のプレテスト(平均±SD)は,4.01±1.90点,4.20±2.00点であり,有意差は認められなかった.また,両群のポストテストは5.12±1.91点,4.54±2.20点であり,有意差は認められなかった.一方,SGD後にデジタルモデル学習を行った場合とデジタルモデル学習後にSGDを行った場合は6.12±2.09点,5.59±2.10点であり,両群間に有意差を認めた.また,SGD群では,SGD後とSGD後にデジタルモデル学習を行った後の得点の間に有意差を認め,平均得点が上昇した.デジタルモデル学習群では,デジタルモデル学習後とデジタルモデル学習後にSGDを行った後の得点に有意差が認められ,得点が上昇した.
以上より,従来型の方略とデジタル総義歯モデルを活用した方略を組み合わせることで,学生の咬合様式や咬合平衡についての理解を深めることが示された.また,従来型の方略で学習した知識をデジタル総義歯モデルにより視覚的に確認することで,より理解が深まることがわかった.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た 東京歯科大学倫理審査委員会承認1173号)
歯学生の多くは顎運動や口腔内での義歯の挙動をイメージできず,咬合様式や咬合平衡の理解を苦手とする傾向がある.そのため,それらのイメージ構築を支援する教育ツールを開発することで,この課題の改善につながるのではないかと考えた. 我々は360度いずれの方向からも顎運動が観察可能なデジタル総義歯モデルを作成して,その教育効果についてこれまでに報告してきた.今回,従来型の方略とデジタル総義歯モデルを用いた方略との組み合わせによる教育効果を検討することとした.
【方法】
東京歯科大学第5学年の学生128名を対象とし,従来から行っているスモールグループディスカッション(SGD)とデジタル総義歯モデルを活用した講義(デジタルモデル学習)を行った.先にSGDを行う群(SGD群)(n=67)と先にデジタルモデル学習を行う群(デジタルモデル学習群)(n=61)に分け,10点満点でプレテストとポストテストを行い,理解度を比較した.統計解析は,SGD群とデジタルモデル学習群の群間比較はMann-WhitneyのU 検定を用い,群内比較はWilcoxonの符号順位検定を用いて比較した.有意水準は0.05とした.
【結果と考察】
SGD群とデジタルモデル学習群のプレテスト(平均±SD)は,4.01±1.90点,4.20±2.00点であり,有意差は認められなかった.また,両群のポストテストは5.12±1.91点,4.54±2.20点であり,有意差は認められなかった.一方,SGD後にデジタルモデル学習を行った場合とデジタルモデル学習後にSGDを行った場合は6.12±2.09点,5.59±2.10点であり,両群間に有意差を認めた.また,SGD群では,SGD後とSGD後にデジタルモデル学習を行った後の得点の間に有意差を認め,平均得点が上昇した.デジタルモデル学習群では,デジタルモデル学習後とデジタルモデル学習後にSGDを行った後の得点に有意差が認められ,得点が上昇した.
以上より,従来型の方略とデジタル総義歯モデルを活用した方略を組み合わせることで,学生の咬合様式や咬合平衡についての理解を深めることが示された.また,従来型の方略で学習した知識をデジタル総義歯モデルにより視覚的に確認することで,より理解が深まることがわかった.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た 東京歯科大学倫理審査委員会承認1173号)