講演情報

[P-25]光造形により製作したインプラントオーバーデンチャーの真度の比較

*佐々木 佑夏1、小山田 勇太郎1、中西 厚雄1、髙橋 徳明2、坂井 諒太2、泉澤 充2、近藤 尚知3、今 一裕1 (1. 岩手医科大学歯学部歯科補綴学講座 冠橋義歯・口腔インプラント学分野、2. 岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座 歯科放射線学分野、3. 愛知学院大学歯学部 冠橋義歯・口腔インプラント学講座)
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【目的】
 近年,歯科領域における技工操作のデジタル化が進展し,光造形技術は可撤性補綴装置の製作にも応用されている.本研究では,光造形であるDigital Light Processing (DLP)により製作したインプラントオーバーデンチャー(IOD)の真度を比較し,その結果を報告する.
【方法】
 実験用のデータは,汎用Computer Aided Design(CAD)ソフトウェアを用いて作成した。上顎無歯顎モデルと,併せてロケーター型とバー型のアタッチメントのスペースを付与した3Dモデルを作成し,Standard Triangulated Language(STL)形式にて抽出した.得られたSTLデータを技工用CADソフトウェアに入力し,IODの義歯床を設計した.設計後の義歯床モデルはSTL形式にて抽出した.設計した義歯床モデル(Co)を汎用CADソフトウェアに再度入力して各アタッチメントのスペースをブーリアン演算にて削除した義歯床モデルをロケーター型(Lo),バー型(Ba)の合計3種類作成した.設計データをDLP方式3Dプリンターにて義歯床用光造形樹脂を用いて造形した.造形角度は0°と45°の2種類とし,造形後は5分間アルコール洗浄を行い,光重合器にて最終硬化を行った.実験用義歯床は各造形角度5個ずつ,合計30個製作した.実験用義歯床を歯科用Cone-beam Computed Tomographyにより撮影し,Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)形式で抽出した.DICOMデータを画像処理ソフトウェアに取りこみ,STL形式に変換した.計測用CADソフトウェア上で設計データと測定データの重ね合わせを行い,測定結果を統計用ソフトウェアにて解析を行った.
【結果と考察】
 造形後のスキャンデータの重ね合わせから,全ての義歯床において上顎結節部,LoとBaは口蓋部においても真度の低下を認めた.また,造形角度45°が最適であり,角度の変更によって真度が向上する可能性がある.今回の実験の結果より,DLP方式によってIODを製作する際,造形角度によって造形後の真度が低下する可能性が示唆された.