講演情報

[P-29]光造形により製作した床用レジン修理後の曲げ強さと曲げ弾性係数における補強材の影響

*伊藤 綾香1、川口 智弘1、西 隼1、田中 亜弥1、森田 伯平1、都築 尊1 (1. 福岡歯科大学咬合修復学講座有床義歯学分野)
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【目的】
 常温重合レジンで修理した3D-printed denture用レジンの曲げ強さおよび曲げ弾性係数に対する各種補強材の影響を検討することである.
【方法】
 3Dプリンタ(カーラプリント4.0プロ,クルツァージャパン)を使用し,3D-printed denture用レジン(ディーマ プリントデンチャーベース,クルツァージャパン)を用いて3点曲げ試験用の試料を製作した.破折前の試料をポジティブコントロール(PC群)とした.残りの試料は中央で切断した.その後,常温重合レジン(ユニファストⅢピンク,ジーシー)で接着した試料をネガティブコントロール(NC群)とした.直径1.2mmのCo-Cr合金線(サンコバルトクラスプ線,モリタデンタルプロダクツ)を埋入したものをMR群とした.厚さ0.4mmのグラスファイバー(SESファイバーリペアー,デンケン・ハイデンタル)を埋入したものをFR群とした.厚さ1.5mmのグラスファイバー(SESファイバーパーシャル,デンケン・ハイデンタル)を埋入したものをFP群とした.24時間水中に浸漬後,万能試験機を用いて3点曲げ試験を行い,曲げ強さ(MPa)および曲げ弾性係数(GPa)を計測した.試料数は各条件につき10個とした.得られたデータは一元配置分散分析後,Bonferroni法による多重比較検定を行った.有意水準は5%とした.
【結果と考察】
 一元配置分散分析の結果,曲げ強さおよび曲げ弾性係数で有意差を認めた(p<0.05).曲げ強さでは,NC群と比較してFR群とMR群で有意に高い値を認めたが,PC群よりも有意に低かった(p<0.05).しかし,FP群はPC群よりも有意に高い曲げ強さを示した(p<0.05).曲げ弾性係数では,NC群とFR群で有意差を認めなかった(p>0.05)が,FP群とMR群はPC群と比較して有意に高い値を認めた(p<0.05).これらの結果から,補強材の種類が修理部の機械的性質に影響を及ぼすことが示唆された.FP群では曲げ強さおよび曲げ弾性係数の両方でPC群よりも高い値が確認され,厚みのあるグラスファイバーが修理部の曲げ強さの向上に有効であることが分かった.また,MR群では高い曲げ弾性係数を示し,金属線による補強が剛性の向上に寄与することが示唆された.