講演情報

[P-60]口腔内スキャナーの撮影システムと精確性に関する研究

*大黒 英莉1、深澤 翔太2、高藤 恭子1、尾関 創1、今 一裕2、近藤 尚知1 (1. 愛知学院大学、2. 岩手医科大学)
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【目的】
 昨今,国内外の多くのメーカーから口腔内スキャナーが提供されるようになり,光学印象採得法が普及しつつあることが示唆している.一方、口腔内スキャナーによる光学印象法の精度に関して未だ解決されない課題として,インプラント治療においての適用範囲が挙げられる.しかしながら,多様なシステムを採用した新機種が開発・提供されるようになったことで,各機種間の精度を改めて比較・評価し,現時点での口腔内スキャナーの精度についての見解を示す必要がある.本研究においては,新機種と普及型機種間の精確性について比較検討を行い,口腔インプラント治療における適用範囲を検証することを目的とした.
【方法】
 下顎顎歯模型の臼歯相当部に,インプラント体を4本埋入後,ボールアバットメントを装着し,本研究の基準模型とした.接触式三次元座標測定機による三次元形状計測を行い,各インプラント体間距離の基準値とした.次に,撮影システムの異なる口腔内スキャナーを用いて基準模型の三次元形状データを採得し,得られたデータを立体画像解析用ソフトウェアを用いて,精確性(真度,精度)を計測・評価した.統計分析は,Student t-testを用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】
 距離の測定誤差は,短い距離の印象では,真度,精度ともに有意な差は認められなかった.すなわちAB間のような2歯程度の少数歯欠損範囲においては,口腔内スキャナーによる光学印象法は,口腔インプラント治療に適用可能であることが示唆された.
ボールアバットメント間の距離が長いBC間は,AB間に比べ,真度の測定誤差が大きくなり,両スキャナーともに中央値でその誤差は約80µm以上,精度の誤差は60μm以上であった.一方,通常設定されるセメントスペースが約70μmであると仮定すると連結クラウン等を適用する多数歯欠損への臨床応用は,慎重に検討する必要があることが示唆された.
【参考文献】
1) Fukazawa S, Odaira C, Kondo H. Investigation of accuracy and reproducibility of abutment position by intraoral scanners. J Prosthodont Res 2017 Oct;61(4):450-459.