講演情報
[P-62]無歯顎インプラント症例に対する口腔内での補助デバイス使用時のデジタル印象精度評価
*芦田 圭介1、三田 稔2、田中 晋平2、高場 雅之2、岩内 洋太郎2、枡 澪那1、輿石 悠介1、山田 智梨1、馬場 一美2 (1. 昭和医科大学歯学部歯科補綴学講座歯科補綴学部門、2. 昭和医科大学大学院歯学研究科歯科補綴学分野)
【目的】
無歯顎インプラント症例のデジタル印象は,印象精度が低下することが知られている.そこで,演者らは複雑な形態を付与したスキャン補助パーツ(以下,補助デバイス)を開発し,印象精度が向上することを模型実験で報告した1).本研究の目的は,補助デバイスによる印象精度向上が口腔内でも確認できるか検証することである.
【方法】
被験者は上顎無歯顎に対し4本インプラントが埋入されている患者8名を対象とした.補助デバイスは,PMMA製ディスクを切削加工して製作した.まず,患者の口腔内にスキャンボディを設置し,補助デバイスを装着せずIOS(TRIOS scanner 4)による印象採得を5回行った(AD-群).次に補助デバイスを設置し,同様に印象採得を5回行った(AD+群).スキャンボディと補助デバイス撤去後に,印象用コーピングとCO-Cr製のフレームを用いてべリフィケーションインデックスの採得を5回行い,それらから製作した模型にスキャンボディを装着し,非接触式スキャナー(FLARE Pro 16M)でスキャンを行った(VC群).スキャンデータを全て3D計測ソフトウェアにて,各群における5つのデータから2つずつ10通りの全ての組み合わせでSTLデータの形態差分値の平均を算出し,精度の比較とした.統計解析は一元配置分散分析を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】
形態差分値の平均値はAD-群:37.56 ± 7.43 µm,AD+群:16.23 ± 2.56 µm,VC群:26.48 ± 5.13µmであった.すべての群間で統計学的有意差が認められた(F = 31.04, P < 0.0001). 本研究結果により,補助デバイスの使用によりデジタル印象の精度は有意に向上し,現状困難とされているフルアーチの補綴装置製作が可能となる可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Masu R, Tanaka S, Sanda M et al. Effect of assistive devices on the precision of digital impressions for implants placed in edentulous maxilla: an in vitro study. Int J Implant Dent 2021;7(1):116.
無歯顎インプラント症例のデジタル印象は,印象精度が低下することが知られている.そこで,演者らは複雑な形態を付与したスキャン補助パーツ(以下,補助デバイス)を開発し,印象精度が向上することを模型実験で報告した1).本研究の目的は,補助デバイスによる印象精度向上が口腔内でも確認できるか検証することである.
【方法】
被験者は上顎無歯顎に対し4本インプラントが埋入されている患者8名を対象とした.補助デバイスは,PMMA製ディスクを切削加工して製作した.まず,患者の口腔内にスキャンボディを設置し,補助デバイスを装着せずIOS(TRIOS scanner 4)による印象採得を5回行った(AD-群).次に補助デバイスを設置し,同様に印象採得を5回行った(AD+群).スキャンボディと補助デバイス撤去後に,印象用コーピングとCO-Cr製のフレームを用いてべリフィケーションインデックスの採得を5回行い,それらから製作した模型にスキャンボディを装着し,非接触式スキャナー(FLARE Pro 16M)でスキャンを行った(VC群).スキャンデータを全て3D計測ソフトウェアにて,各群における5つのデータから2つずつ10通りの全ての組み合わせでSTLデータの形態差分値の平均を算出し,精度の比較とした.統計解析は一元配置分散分析を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】
形態差分値の平均値はAD-群:37.56 ± 7.43 µm,AD+群:16.23 ± 2.56 µm,VC群:26.48 ± 5.13µmであった.すべての群間で統計学的有意差が認められた(F = 31.04, P < 0.0001). 本研究結果により,補助デバイスの使用によりデジタル印象の精度は有意に向上し,現状困難とされているフルアーチの補綴装置製作が可能となる可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Masu R, Tanaka S, Sanda M et al. Effect of assistive devices on the precision of digital impressions for implants placed in edentulous maxilla: an in vitro study. Int J Implant Dent 2021;7(1):116.