講演情報
[P-80]義歯床材料に対する寒天粒子の切削性の評価
*原川 二千翔1、佐藤 秀明1、三宅 晃子2、田代 悠一郎2、小正 聡2 (1. 東京都市大学、2. 大阪歯科大学)
【目的】
一般的な義歯の清掃法として,義歯洗浄剤の化学的清掃法と義歯ブラシを使用する機械的清掃法の併用が義歯床のデンチャープラークの除去に有用である.本実験では,寒天粒子が義歯床用材料の表面粗さに及ぼす影響を摩耗試験の観点から検証したところ,興味深い知見を得られたため報告する.
【方法】
アクロンMC(ジーシー)を用いて,直方体および丸棒形状のPMMA試験片を作製した.試験面として使用する約12.0mm×10.0mmの面を耐水研磨紙を用いて試験面の算術平均粗さを0.15≦Ra≦0.18μmに調整した.その試験片のPMMA板に模擬汚れとして,人工プラーク(ニッシン)を使用し,PMMA板に付着させ,自然乾燥を行った. 噴射には,寒天粒子(S-6,伊那食品工業株式会社),グリシン粒子(有機合成薬品工業株式会社)および炭酸カルシウム粒子(丸尾カルシウム株式会社)を用いた.噴射条件は,噴射圧力0.2MPa,噴射距離20mm,噴射角度90°(垂直投射),噴射量15g/回,単位時間当たりの噴射量5g/sに設定した.寒天噴射前後で,触針式表面粗さ計にて表面粗さと断面曲線を評価した.また寒天粒子,グリシン粒子および炭酸カルシウム粒子をPMMA平板(下部試験片)上に付着させ,PMMA丸棒(上部試験片)を使用し,特型平面摩耗試験機((株)東洋精機製作所製)を用いて摩耗実験を行った.実験条件は,上部試験片をチャックで固定し,垂直荷重 F=4.9N を加えた.下部試験片を往復運動するテーブルに治具で固定し,100回(1回/s)の往復滑走摩耗試験を行った.摩耗体積の測定として,台形近似により,それぞれ微小断面積を算出し,全て足し合わせて求めた.
【結果と考察】
人工プラークを付着したPMMA板に対する寒天粒子を使用した洗浄法は義歯床面の表面性状を変化させることなく,義歯床面上の汚染物質を除去することが可能であることが明らかとなった. また摩耗試験の結果,PMMA丸棒の摩耗量は,寒天,グリシン,炭酸カルシウムの順に増加することが明らかとなった.寒天粒子の場合,PMMA丸棒の摩耗量は0.02×10-9m3と微量であり,Raの変化もほぼ見られなかった.したがって,PMMAに対する噴射による清掃は,表面損傷が少なく,模擬汚れを除去することができる寒天粒子による清掃法が新規義歯清掃法として有用であることが明らかとなった.
一般的な義歯の清掃法として,義歯洗浄剤の化学的清掃法と義歯ブラシを使用する機械的清掃法の併用が義歯床のデンチャープラークの除去に有用である.本実験では,寒天粒子が義歯床用材料の表面粗さに及ぼす影響を摩耗試験の観点から検証したところ,興味深い知見を得られたため報告する.
【方法】
アクロンMC(ジーシー)を用いて,直方体および丸棒形状のPMMA試験片を作製した.試験面として使用する約12.0mm×10.0mmの面を耐水研磨紙を用いて試験面の算術平均粗さを0.15≦Ra≦0.18μmに調整した.その試験片のPMMA板に模擬汚れとして,人工プラーク(ニッシン)を使用し,PMMA板に付着させ,自然乾燥を行った. 噴射には,寒天粒子(S-6,伊那食品工業株式会社),グリシン粒子(有機合成薬品工業株式会社)および炭酸カルシウム粒子(丸尾カルシウム株式会社)を用いた.噴射条件は,噴射圧力0.2MPa,噴射距離20mm,噴射角度90°(垂直投射),噴射量15g/回,単位時間当たりの噴射量5g/sに設定した.寒天噴射前後で,触針式表面粗さ計にて表面粗さと断面曲線を評価した.また寒天粒子,グリシン粒子および炭酸カルシウム粒子をPMMA平板(下部試験片)上に付着させ,PMMA丸棒(上部試験片)を使用し,特型平面摩耗試験機((株)東洋精機製作所製)を用いて摩耗実験を行った.実験条件は,上部試験片をチャックで固定し,垂直荷重 F=4.9N を加えた.下部試験片を往復運動するテーブルに治具で固定し,100回(1回/s)の往復滑走摩耗試験を行った.摩耗体積の測定として,台形近似により,それぞれ微小断面積を算出し,全て足し合わせて求めた.
【結果と考察】
人工プラークを付着したPMMA板に対する寒天粒子を使用した洗浄法は義歯床面の表面性状を変化させることなく,義歯床面上の汚染物質を除去することが可能であることが明らかとなった. また摩耗試験の結果,PMMA丸棒の摩耗量は,寒天,グリシン,炭酸カルシウムの順に増加することが明らかとなった.寒天粒子の場合,PMMA丸棒の摩耗量は0.02×10-9m3と微量であり,Raの変化もほぼ見られなかった.したがって,PMMAに対する噴射による清掃は,表面損傷が少なく,模擬汚れを除去することができる寒天粒子による清掃法が新規義歯清掃法として有用であることが明らかとなった.