講演情報

[P-93]インフィルトレーション法が混合組成積層型ジルコニアの物性に及ぼす影響

*杉木 隆之1、鈴木 もえ1、原 刀麻1、鈴木 翔平2、鈴木 梨菜3、瀬戸 宗嗣2,3、上田 一彦2,3 (1. 日本歯科大学大学院新潟生命歯学研究科機能性咬合治療学、2. 日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第2講座、3. 日本歯科大学新潟病院口腔インプラント科)
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【目的】
 モノリシックジルコニア製固定性補綴装置は,多くの症例で臨床応用されている.近年,異なる組成を積層した混合組成積層型ジルコニアに製造段階で元素を添加し,色調にグラデーションを付与することで審美性が向上したマルチレイヤージルコニアが開発され,審美領域での適応も可能になっている.また,より詳細な天然歯に近似した色調再現法の1つにインフィルトレーション法がある.インフィルトレーション法は,半焼結体ジルコニアの表面に着色液を含浸した後に完全焼結を行う方法で,形態修正後も色調は維持される1).しかし,インフィルトレーション法を行なった混合組成積層型ジルコニアの物性ついては不明な点が多い.本研究の目的は,インフィルトレーション法で用いる着色液が,混合組成積層型ジルコニア内の元素と物性に与える影響について明らかにすることである.
【方法】
 各着色液(T-Glass(ST),A4(SA),White-Opaque(SW),Gingiva 1(SG),Blue-X(SB))をジルコニアに含浸して製作した試料,未着色のジルコニア(C)および,製造段階で着色を施されているジルコニア(SL)と設定し,令和6年度日本補綴歯科学会関越支部学術大会で報告した3点曲げ試験(曲げ試験)後の試料を本研究の実験試料とした.実験試料の表面形状観察は,走査型電子顕微鏡を用いた.曲げ試験後の実験試料の元素分析は蛍光X線分析装置(XRF)を用いて行った.曲げ試験後の破断面の表面構造分析にはレーザーラマン顕微鏡を用いた.曲げ試験と元素分析で得られた値から,Kruskal-Wallis testとSteel-Dwass testを用いた統計学的分析を行った(p < 0.05).
【結果と考察】
 令和6年度日本補綴歯科学会関越支部学術大会にて発表した,曲げ試験とXRF分析より,各元素の相関関係はZr(0.38),Y(-0.23),Er(-0.81)であった.以上の結果より,Er,Yをジルコニアに含浸することでジルコニアの物性に影響を及ぼす可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Kim HK, Sung HK. Effect of the number of coloring liquid applications on the optical properties of monolithic zirconia. Dent Mater 2014;30:229-37.