講演情報

[P-97]口腔機能低下症患者への多職種連携による保健指導(食支援)に関する報告

*西村 紗稀子1、佐藤 春佳1、富野 ゆかり1、薗部 悠司郎1、岩下 英夫1、清水 統太1、濵野 奈穂1、沈 佳臻1、大川 公子1、辻村 有哉1、井野 智1 (1. 神奈川歯科大学歯科補綴学講座有床義歯補綴学分野)
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【目的】
 2024年6月に医科診療報酬改定で生活習慣病管理において予防医学的観点から医科歯科連携をさらに推進するため,治療管理の多職種連携の中に,初めて「歯科医師」が明記された.これは治療中心型から予防・管理型医療への転換の必要性を示していると考える. 歯の欠損に対し,補綴処置による口腔の機能回復を行っただけでは,患者の嗜好食品の改善までは出来ず,むしろ生活習慣病を悪化させてしまうこともある1).そこで,本学における内科医師及び管理栄養士の協力の下,保健指導(食支援)に関する多職種連携体制の取り組みを報告する.
【方法】
 口腔機能低下症及び栄養指導についての重要性の認知度向上を目的に院内にポスター掲示(図1)を行った2).次に,①歯科で咀嚼機能が回復したが生活習慣病に罹患している患者の内科への診療依頼,②生活習慣病に罹患しており内科に通院中で咀嚼機能障害がある患者の歯科への診療依頼,の双方向のフローチャートを作成し,院内スタッフへ周知させた.
 さらに,歯科と内科の併診時に用いる療養計画書(図2)に,口腔内状態の評価項目を追加することで,両科の共用書面へ変更した.
【結果と考察】
 補綴と栄養評価と保健指導は一体化するべきであり,今回作成した一枚の療養計画書を通して医科歯科連携による栄養指導が可能になったと考える.医科歯科連携の充実から咀嚼機能が改善した患者への食支援のみならず,生活習慣病にて当院内科に通院中で咀嚼機能改善が必要な患者への対応も可能になった. 今後は,歯科のみならずより包括的な支援から薬に頼らない根本的な治療に寄与できることを目指している.
【参考文献】
1) Takeuchi H, Terada M, Hanada N et al. Influences of Masticatory Function Recovery Combined with Health Guidance on Body Composition and Metabolic Parameters. Open Dent J 2019;13:124-136.
2) 西村紗稀子,久保敦史,佐藤春佳ほか.ハブラシコンセイエによる口腔機能評価のための取り組みに関する報告.日補綴会誌東関東支部・西関東支部合同学術大会特別号2024;16:22.