講演情報
[CC-2]金属アレルギー症例に対する高剛性ノンメタルクラスプデンチャーの補綴設計と製作
*小池 一幸1、*西口 翔太2 (1. 徳島大学大学院医歯薬学研究部顎機能咬合再建学分野、2. 徳島大学病院医療技術部歯科医療技術部門技工室)
キーワード:
金属アレルギー、ノンメタルクラスプデンチャー、グラスファイバー強化型レジン
アクティブシニアに対する補綴治療では,全身および口腔状態を踏まえつつ,機能回復と適切な材料を選択することが重要である.今回,海外旅行が趣味の活動的な患者に対し,「金属不使用」と「高剛性」を両立した義歯を製作した症例を報告する.患者は口腔扁平苔癬と多数の金属元素にアレルギーを有する60歳代女性である.本来は陽性金属を含む口腔内補綴装置の除去が望ましいが,固定性補綴装置の撤去は抜歯を伴う可能性が高く,咀嚼機能低下のリスクがあったため患者は希望しなかった.一方,義歯の装着時間を制限したところ粘膜症状が改善したことから,義歯のみを再製作する治療方針とした.患者は金属床義歯を使用しており,その咀嚼機能と装着感に満足していたため,同等の機能回復を強く求めた.そこで、パッチテストで陰性であったチタン床を計画したが、チタン製テストピース装着により粘膜症状は増悪した.そのため、本症例ではレストや大連結子を付与できず完全ノンメタル設計となるため,剛性不足が懸念された.そこでグラスファイバー強化型レジン(FRC)をフレームワークに応用し,耐衝撃性義歯床用レジンを組み合わせ,FRCを義歯床内に埋設する多層構造とすることで応力集中を回避し,高剛性と良好な装着感の両立を図った.装着2年経過時に破損や変形は認められず,粘膜症状も一時的な増悪は認めることがあるものの高い患者満足が得られている.歯科医師と歯科技工士の密な連携と創意工夫が材料学的限界を克服し,高機能で患者のQOL向上に寄与する補綴装置を製作できることを示した.(発表に際し患者の同意を得た)
