講演情報

[ES1-3]イブニングセッション1

*豆野 智昭1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座)
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臨床の現場で生じる疑問は,データを介して検証されることでエビデンスへと発展し,再び診療に還元されうる.この臨床研究のプロセスには,臨床家ならではの実感を伴う面白さがある.一方で,臨床研究は常にバイアスの制約下にあり,倫理的・時間的・費用的な制限のもとで理想的な研究デザインを構築できることは稀である.選択バイアス,情報バイアス,交絡といった問題をいかに認識し,適切に対処するかが研究の質を大きく左右する.
 こうした制約下で鍵となるのが,解析以前の段階,すなわちデータ設計における思考である.アウトカムの定義,交絡因子の選定といった事項は,本来すべて計画段階で検討しておくべきものであり,それらに基づいて解析方法を事前に規定することが望ましい.しかし現実には,設計段階の見落としに気づくのは往々にしてデータ収集後,すなわち解析段階である.近年,多様な情報をデータ化できるようになったことで調査の自由度は増したものの,だからこそ計画段階で「何を,なぜ,どこまで収集するのか」を吟味する重要性はいっそう高まっている.
 本講演では,大学院生の臨床研究を支援する立場から経験してきた失敗と成功,そこから得られた実践的な気づきを率直に共有する.臨床の現場で生まれた疑問を研究として成立させるための,現実的かつ再現可能な視点を,若手歯科医師とともに考える場としたい.