講演情報

[O2-2]唾液中代謝物と認知機能の変化の関連

*林 瑶一郎1、邱 大桓1、相川 雅志1、足立 拓也1、川西 範繁1、星 憲幸2、木本 克彦1 (1. 神奈川歯科大学 歯科補綴学講座 クラウンブリッジ補綴学分野、2. 神奈川歯科大学口腔デジタルサイエンス学)
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【目的】

近年高齢化の進行に伴い,高齢者人口の増加とともに認知症患者数の増加が医学的・社会的課題となっている.認知機能低下は口腔機能低下と関連し,フレイルを介して全身状態へ影響を及ぼすことが知られている1).一方,認知症診断には検査項目が多く,患者本人のみならず家族への負担が大きい.我々はこれまで,口腔機能の変化が唾液量および唾液代謝物質に影響を及ぼすことを報告してきた2).既報の口腔機能と認知機能との関連性を踏まえ3),本研究では,唾液代謝物質と認知機能との関連性を検討した.
【方法】

対象は本学附属病院高齢者内科に通院中の認知症患者7名(認知症群),軽度認知障害患者15名(MCI群),認知機能評価(MoCA-J)により認知機能障害を認めない者10名(control群)とした.同意取得後,安静時唾液は吐唾法,刺激時唾液はガム法により,月・火曜日午前中に統一して採取した.唾液代謝物質はキャピラリー電気泳動—質量分析(CE-MS)によるメタボローム解析にて測定した.
【結果と考察】

MCI群とcontrol群間では,安静時および刺激時唾液のいずれにおいても唾液代謝物質の検出濃度に有意差を認めた.一方,MCI群と認知症群,control群と認知症群間には有意差は認められなかった.また,MCI群とcontrol群間で特異的な変動を示す唾液代謝物質が確認された.これらの結果から,健常状態から軽度認知障害へ移行する過程において,生体内の変化が唾液代謝物質に反映される可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Kugimiya Y, Ueda T, Watanabe Y, et al. Relationship between mild cognitive decline and oral motor function.Gerodontology. 2019;36(2):192–199.
2) Ichigaya N, Kawanishi N, Adachi T, et al. Effects of denture treatment on salivary metabolites: a pilot study. Int J Mol Sci. 2023 ;24(18):13959.
3) 福本陽香,井上良介,藤原晶子ほか.歯科外来高齢患者における認知機能と口腔機能および食品・栄養素摂取状況との関連.老年歯科医学.2025;40(2):112-120.